KT88pp Version2 考察(2)
アンプの動作は安定になりました。DCカットフィルタに使うコンデンサも決まりました。試聴は位相補償をかけずに行うことにします。
女性ボーカルが背景から浮き上がって聞こえる瞬間、アンプ製作の苦労が報われます。やっとヒアリングレポートが書けるところまで来ました。
一聴して感じるのは低音の迫力です。ダンピングファクタが20以上あって出力も50W超ですから当然なのでしょうが、体に直に響いてきます。愛用しているPL300がマッチョに変身したかのようです。今回製作したアンプはPL300をしっかりグリップしています。改めて、現代型スピーカーは低インピーダンスアンプを前提に設計されていると感じました。
しかし、スカッと抜けた低音ではなく少し弾力のある低音です。というか、ちょっと低音過多に聞こえます。このような印象を受けるのはアンプの個性を反映しているからではありません、もちろん、何か特性上の問題があるからでもありません。部屋の大きさや響き等の試聴環境が大きく影響していると考えています。試聴ポジションの周波数特性はイコライザーで調整しているのですが、限界を感じてしまいます。
中高域は密度感があって高解像度という印象です。スカッと爽やかかというとそういう音ではありません。そのため、ソースの良し悪しをそのまま描き出します。真空管アンプというと古いJAZZ録音に合うというイメージを持たれていますが、このアンプは新しい録音が気持ちよく聴けます。古い録音では歪感がそのまま出てきて聴き疲れすることがあります。(悪く言うと)一昔前の半導体アンプのような感じですね。
今回の試聴結果がKT88の個性によるものなのか、それとも前段に使ったLME49810によるものなのかよく分かりません。でも、手持ちの音楽ソースを次々に聞いてみたいと感じていることだけは確かです。