コンテンツ

カテゴリー「KT88V2考察」の2件の記事

2016/12/25

KT88pp Version2 考察(2)

アンプの動作は安定になりました。DCカットフィルタに使うコンデンサも決まりました。試聴は位相補償をかけずに行うことにします。

女性ボーカルが背景から浮き上がって聞こえる瞬間、アンプ製作の苦労が報われます。やっとヒアリングレポートが書けるところまで来ました。




Photo


一聴して感じるのは低音の迫力です。ダンピングファクタが20以上あって出力も50W超ですから当然なのでしょうが、体に直に響いてきます。愛用しているPL300がマッチョに変身したかのようです。今回製作したアンプはPL300をしっかりグリップしています。改めて、現代型スピーカーは低インピーダンスアンプを前提に設計されていると感じました。


しかし、スカッと抜けた低音ではなく少し弾力のある低音です。というか、ちょっと低音過多に聞こえます。このような印象を受けるのはアンプの個性を反映しているからではありません、もちろん、何か特性上の問題があるからでもありません。部屋の大きさや響き等の試聴環境が大きく影響していると考えています。試聴ポジションの周波数特性はイコライザーで調整しているのですが、限界を感じてしまいます。


中高域は密度感があって高解像度という印象です。スカッと爽やかかというとそういう音ではありません。そのため、ソースの良し悪しをそのまま描き出します。真空管アンプというと古いJAZZ録音に合うというイメージを持たれていますが、このアンプは新しい録音が気持ちよく聴けます。古い録音では歪感がそのまま出てきて聴き疲れすることがあります。(悪く言うと)一昔前の半導体アンプのような感じですね。


今回の試聴結果がKT88の個性によるものなのか、それとも前段に使ったLME49810によるものなのかよく分かりません。でも、手持ちの音楽ソースを次々に聞いてみたいと感じていることだけは確かです。




Photo_2






2016/12/20

KT88pp Version2 考察

アンプ入力に入れてあるDCカットフィルタのコンデンサですが、銘柄を決めるために聞き比べを行いました。



Photo



比べたのは下の写真の7種類です。




Photo_2





上段左から、
  アムトランス メタライズドフィルムコンデンサ AMCOシリーズ 630VDC 0.47μF
  (購入先:アムトランス)
  ASC メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ X363シリーズ 400VDC 0.33μF
  (購入先:海神無線)
  日​精​電​機 ポ​リ​プ​ロ​ピ​レ​ン​フ​ィ​ル​ム​コ​ン​デ​ン​サ APSシリーズ 100VDC 0.22μF
  (購入先:若松通商)
  PARCAudio メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ 400VDC 0.33μF
  (購入先:千石電商)
下段左から
  ルビコン メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ MPSシリーズ 250VDC 2.2μF
  (購入先:秋月電子通商)
  パナソニック メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ ECWFシリーズ 250VDC 2.2μF
  (購入先:Digikey)
  パナソニック メタライズドPETフィルムコンデンサ ECQEシリーズ 250VDC 2.2μF
  (購入先:Digikey)


下の写真のように、電源を切らずクリップで切り替えるという乱暴なやり方です。




Photo_3




以下、ヒアリングの結果です。


1)ルビコン メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ MPSシリーズ 250VDC 2.2μF
  歪みっぽくてこめかみが痛くなるような音。

2)パナソニック メタライズドPETフィルムコンデンサ ECQEシリーズ 250VDC 2.2μF
  元気があり解像度の高い音。少し聴き疲れするがギリギリOK。

3)パナソニック メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ ECWFシリーズ 250VDC 2.2μF
  ソフトな音質だが、解像度が落ちたと感じさせない。
  録音の古いジャズはgoodである。

4)アムトランス メタライズドフィルムコンデンサ AMCOシリーズ 630VDC 0.47μF
  若干中域寄りで、少しばかりクセを感じる。
  気になるほどでないが、6)と比べると分解能は低い。

5)日​精​電​機 ポ​リ​プ​ロ​ピ​レ​ン​フ​ィ​ル​ム​コ​ン​デ​ン​サ APSシリーズ 100VDC 0.22μF
  音のにじみが感じられ、分解能もそれほどでない。
  EL84の時は最も良いと判断したのだが...。

6)PARCAudio メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ 400VDC 0.33μF
  非常に分解能が高く音ににじみがない(透明感がある)。
  特にピアノの音は綺麗で、他のコンデンサとは違うように聞こえる。
  (どちらが正しいかはわからない)

7)ASC メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ X363シリーズ 400VDC 0.33μF
  綺麗な音であり、無難な選択である。
  それでも、6)と比べるとにじみ(雑味)を感じてしまう。



今回のKT88ULpp Version2に限っての結果ですが、
  6)  >>  7) > 2) > 4) > 5) > 3)  >>  1)
となりました。


ということで、PARCAudioのメタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサを採用することにしました。
基板に取り付けたのは0.82μFです。




Photo_4