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カテゴリー「KT88V2設計」の7件の記事

2016/11/15

KT88pp Version2 設計と実験(7)

(Ⅶ)プリント基板の設計


下図はEagleの回路図です。前回と比べ部品が少なくなっています。


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下図は半田面のアートワーク図面です。前回はベタグランドを採用しましたが、今回は周波数帯域が狭いということでそれほど気を使いませんでした。±15Vと±75Vの間をパスコンのグランドをひらいながら太いパターンでつなげていき、その他の回路のグランドは100V100μF電解コンデンサのマイナス端子で一点アースにしています。



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下図は部品面のアートワーク図面です。前回は端子台の金属部とパターンが接近してしまい絶縁シートを挟むということになってしまいました。今回は注意してアートワークしています。



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下図は基板図になります。サイズは90mmX100mmで前回の69%の面積になりました。



Amplifier_b



2016/11/12

KT88pp Version2 設計と実験(6)

(Ⅵ)回路図


これまでの検討と実験の結果を回路図にまとめました。


Newkt88
アンプ回路図




1newkt88
電圧増幅段 回路図その1




2newkt88
電圧増幅段 回路図その2





2016/11/08

KT88pp Version2 設計と実験(5)

(Ⅴ)アンプ全体の実験


電力増幅段と電圧増幅段をつなげてアンプ全体の動作を確認しました。


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下図はカソードNFだけの周波数特性です。プローブで減衰させていますので、ゲインの縦軸は本来の値より20dB小さくなっています。
ゲインは45.5dB/1KHz、カットオフ周波数は20.1KHz/−3dBでした。電力増幅段のゲインは−10.8dB(0.29倍)と計算されます。


Fr2vrms4ohmknfonly


安定性確認のためにNFBを約20dBかけてみました。位相補償を何もしなくてこの特性です。大きなピークが現れずびっくりです。


Fr2vrms4ohmknf20db0pf



ステップ応答で安定性を確認しました。4Ω//100nFまでは持ちこたえたのですが、負荷を100nFだけにしたところ発振してしまいました。出力端子に10Ω+220nFのダンパー回路を加えて発振を止めることができました。容量性負荷だけの状態で発振しないのが理想ですが、NFBのかかったアンプでは容量を増やしていくとどこかで必ず発振に至ります。アンプ固有の特性と腹をくくり、適当な所で見切りをつけて良いと思います。



2v10khz4ohmknf20db

負荷4Ω 出力1W(2Vrms) 周波数10KHz 10Ω+220nFダンパーあり


2v10khz4ohm100nfknf20db10ohm220nf
負荷4Ω//100nF 出力1W(2Vrms) 周波数10KHz 10Ω+220nFダンパーあり


2v10khz100nfknf20db10ohm220nf
負荷100nF 出力1W(2Vrms) 周波数10KHz 10Ω+220nFダンパーあり





2016/11/04

KT88pp Version2 設計と実験(4)

(Ⅳ)電圧増幅段の実験


1段構成の電圧増幅段を製作し特性を測定しました。OPA627を使ったバッファアンプとLME49810の間に−20dBのアッテネータを入れてあります。



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ゲイン1000倍で考えていましたが、実験の結果662倍になりました。下図は周波数特性ですが、アッテネータを入れたのでゲインが20dB小さな値になっています。



Fr1vrms151ohm100kohmlme49810
U1周波数特性
ゲイン   : 56.27dB/1KHz
カットオフ : 19.6KHz/−3dB



Fr1vrms151ohm100kohmlme49810_2
U2周波数特性
ゲイン   : 56.39dB/1KHz
カットオフ : 19.6KHz/−3dB




2016/11/01

KT88pp Version2 設計と実験(3)

(Ⅲ)電圧増幅段の設計

電圧増幅段のカットオフ周波数は20KHz/−3dBを目指します。
下図はLME49810のゲイン/位相の周波数特性です。これまではゲイン20dB(10倍)で使用していました。帯域は2MHzとなります(緑色の線)。これをゲイン60dB(1000倍)まで上げれば、帯域は20KHzまで落ちてくるはずです(青色の線)。


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オペアンプのゲイン/位相特性をうまく利用すれば、外部にコンデンサを付加せずにアンプの周波数帯域を変えることができます。


オペアンプのゲイン/位相特性がこのようになる仕組みについて少し説明したいと思います。実は、オペアンプの内部ではコンデンサを使った位相補償によってポールの位置を調整するということが行われています。下図はオペアンプ内部を説明した図です。



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説明に使っているのは、初段が差動増幅回路とそのゲインを上げるためのカレントミラー回路、次段がエミッタ接地回路という基本形です。この中で、エミッタ接地の出力から差動増幅の出力に接続されたコンデンサがポール位置の調整を行っています。
LTSpiceを使ってシミュレーションしてみましょう。位相補償用のコンデンサを変化させてパラメトリック解析を行います。


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コンデンサの値を10pF、100pF、1000pFと一桁ずつステップさせると、周波数特性も一桁ずつ変化していくことが見て取れます。
一般的には、第一ポールの周波数を10Hz程度まで下げ第二ポールを0dBラインの下側に抑え込みます。この結果、ボルテージフォロアーでも発振しない安定なオペアンプとなります。「オペアンプの音はよくない」とおっしゃる方の根拠は、このような回路構成を取っているからという所にあるようです。


1970年代、DCアンプが出始めの頃に発表された製作記事やメーカー製品はオペアンプの内部回路をコピーしたものがほとんどだったと思います。ただ、オペアンプのような汎用性は必要ないですから、各ステージのゲインや帯域を最適化して位相補償が最小になるような工夫をされていたと記憶しています。





次は電圧増幅段を1段で済ませるアイデアです。それは、インスツルメンテーションアンプ(Instrumentation Amplifier)の2段目の差動増幅回路を削除するというものです。下図のようにシンプルな構成になります。


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U1の出力とU2の出力とがそれぞれ出力管のグリッドにつながります。本来であれば、U1とU2の出力は位相が逆でゲインルが同じであることを求められますが、上記回路ではそれが完全ではありません。下図にU1とU2のゲインを計算した式を示します。



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U1とU2のゲインの差は、第二項のVi1とVi2の違いだけです。今回は電圧増幅段の帯域を狭くするためにゲインを上げる、すなわちR2/R1(=R3/R1)を大きくする予定ですからVi1とVi2の差は相対的に小さくなると考えられます。


ゲインを1000倍、NFなしで計算してみます。
ゲイン1000倍にするにはR2/R1=1000とします。NFBなしで入力Vi1=1mV、Vi2=0mVの時、出力Vo1=1001mV、Vo2=-1000mVとなり両者の出力差は1mV、すなわち0.1%にすぎません。これは一般的に使われる抵抗の誤差1%の十分の一です。全く問題ないと考えられます。因みに、NFBありの時も同じ誤差になります。



電力増幅段がA級増幅であれば、上記のVi1とVi2の差は出力トランスで打ち消されます。今回のアンプはB級に近いAB級なので打ち消しはそれほど期待できません。



参考文献:
  岡村廸夫、定本 OPアンプ回路の設計、CQ出版、p.85−88
  黒田徹、実験で学ぶトランジスタ・アンプの設計、CQ出版、p.83−87



2016/10/28

KT88pp Version2 設計と実験(2)

(Ⅱ)電力増幅段の実験

カソード帰還の効果を確かめるためアンプを改造しました。


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B電源を+55Vでバイアスしていたのですが、カソード抵抗が出力トランスの2次側(=スピーカー)と接続されるためバイアスはなしになりました。そのためアンプ基板内でバイアス調整ができなくなり、バイアス回路は外付けとなりました。そして、電圧増幅段と電力増幅段との間にカップリングコンデンサが入ることに...。直結にこだわっていたので少し残念です。

周波数特性を測定した結果が下図になります。



122vrms4ohmno_knfb
NFなし


122vrms4ohmknfb
KNFあり



KNFなしの時は、ゲイン34.1dB/1KHz、カットオフ周波数119KHz/−3dBでした。KNFをかけると、ゲイン30.8dB/1KHz、カットオフ周波数156KHz/−3dBになります。NFB量は3.3dBと計算できます。カットオフ周波数は目標の200KHzには届きませんでしたがかなり伸ばすことができました。

歪率測定も行いました。


12thdno_nfb
NFなし


12thdknfb
KNFあり


100Hzと1KHzは若干改善されますが、10KHzは逆に悪くなってしまいました。原因はよくわかりません。歪率はバラックではなくちゃんと組み上げて測定するべきと感じました。



2016/10/25

KT88pp Version2 設計と実験

(Ⅰ)電力増幅段の設計

今回のアンプは電力増幅段にカソード帰還を採用します。カソード帰還(KNF)は、出力トランスの2次側の信号を出力管のカソードに重ねることで負帰還をかけるというものです。下図は原理図です。


Nf


出力管V1のカソードが0Ω端子に、V2のカソードが16Ω端子に接続されています。そして、0Ω端子と16Ω端子との巻線構造上の中点である4Ω端子がグランドに接続されます。ということは、カソード帰還を行わないときと同じアンプ出力を得るには、出力管のグリッド電圧Vinは4Ω出力端子の電圧Vout分大きな振幅が必要になるということです。


NFB量は、カソード帰還ありとなしのグリッド入力電圧の比で計算できます。
    20Log {(Vout+Vin)/Vin}
           Vout : 4オーム端子の出力電圧
           Vin  : Voutを得るのに必要なカソード帰還なしのグリッド電圧


前回製作時に測定した結果から、アンプ入力126.4mVの時に4Ωアンプ出力6453mV(10.4W)が得られています。電圧増幅段のゲインは126倍ですから、出力管のグリッドには126.4mVX126倍=15926.4mVが入力されていることになります。これらの数字からNFB量を計算します。

    20Log {(6453+15926.4)/15926.4} = 2.95dB

KT88はそれほど効率の良い球ではありませんから妥当な数字と見るべきでしょう。



カソードNFに出力トランスの2次側巻線を使うと、若干ですがスピーカーにカソード電流が流れます。ちょっと気持ち悪いですね。
タムラやタンゴにはカソードNF用の独立巻線が用意されている製品があります。今回使用するトランスではありませんが、下の写真はタンゴのXE−60−5です。CF1、CT、CF2が専用巻線で、カソードNFだけでなくオーバーオールのNFをかける時にも使用できます。



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