EL84ppアンプ 構想と仕様(2)
今日はもう少し細かい所を決めていきたいと思います。
(1)電力増幅段
ダンピングファクタを大きく取りたいならば3極管接続になりますが、出力15Wが目標ですからUL接続を選択することにしました。出力トランスはノグチトランスのPMF−28P−8Kです。もちろん、SGタップ付きです。この出力トランスですが、2001年の資料には¥6,800とあります。今は¥11,960ですが、このコアサイズでこの価格というのは良心的と言えます。
(2)電圧増幅段
EL84はグリッド入力10Vrmsで最大出力が得られますので、オペアンプでも十分ドライブ可能です。高級なDACやCDプレイヤーにもオペアンプが採用されており、音質の良いオペアンプはどれかというような議論も盛んです。今回は、オペアンプを使って電圧増幅段を構成します。
下の写真は使用を検討しているオペアンプです。OPA604はプラス・マイナス合わせた電源電圧が48Vと高いのが特徴です。真空管ハイブリッドアンプで使われているのをよく見かけます。OPA123は安価ですが高音質と評判のオペアンプです。OPA627は高級アンプに使われていたそうですが、少し高価です。気にしていませんでしたが、全てバーブラウン(今はTI)ですね。
(3)ゲイン配分
5極管接続ではグリッド入力が10Vrmsで最大出力17Wが得られます。4Ω負荷で計算すると出力電圧は8.2Vrmsになりますから、最終段のゲインは−1.7dBです。
UL接続は一種の負帰還であるという考えがあり、参考文献には、負帰還量は−3.2dBであることが示されています。
先輩諸氏の過去の製作記事等から、5以上のダンピングファクタを得るには-10dB以上のNFBが必要だと推測されます。本機では−12dBとします。
NFBをかけた後の仕上りゲインを20dBとしていますので、電圧増幅段には(20+12+3.2+1.7)=36.9dBのゲインが必要と計算されます。
(4)電源回路
回路規模は大きくなってしまいますが、オペアンプ用の電源だけでなくB電源も安定化します。適当なトランスが既製品に無いので、希望する仕様で巻いてもらおうと思います。株式会社フェニックスのRコアトランスを使うことにします。
(5)実装構造
Rコアトランスは正直言って鑑賞に堪えない?と思いますので、表に出さずケースの中に実装することにします。アンプ全体を一つのケースに収めるのではなく、電源部とアンプ部は別ケースにするつもりです。
今回のアンプは、電源部、アンプ部ともPT基板を使って配線します。半田付けの上手い下手に関わらず誰が作っても同じ物ができますから、特性の再現性がよく品質的にも安定するからです。
参考文献:
アイエー出版「ラジオ技術2009年11月号」