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カテゴリー「EL84測定」の3件の記事

2016/02/09

EL84ppアンプ 測定結果(3)

(Ⅳ)周波数特性
1W出力、NFなしにおける高域特性は、73KHz/−3dBでした。20KHzまでゲインの低下はありませんので、可聴帯域でしっかりNFがかかることになります。1W出力、NF=12dBにおける高域特性は、115KHz/−3dBでした。その後130KHz付近で盛り上がりが見受けられますが、これは出力トランスの特性が影響しています。
位相は数KHzから回り始めています。また、100KHzを超えた周波数域での位相波形はグタグタです。安定性は確保されていますので、これでよしとします。



Fr4ohm1wph12no_nfb

左チャンネル 周波数特性 NFなし


Fr4ohm1wph12nfb12db

左チャンネル 周波数特性 NF12dB



(Ⅴ)方形波応答
位相補償の概略は下図の通りです。しっかり目の補償量だと思います。


Nf

出力トランスの周波数特性にピークがあるので、NFなしでも10KHzにオーバーシュートがみられます。出力とグランドの間に10Ωと220nFを直列に入れてありますが、これがないと容量性負荷を接続したときに発振します。


100hz

左チャンネル 100Hz方形波応答


1khz

左チャンネル 1KHz方形波応答


10khz

左チャンネル 10KHz方形波応答


2016/02/05

EL84ppアンプ 測定結果(2)

(Ⅲ)歪率特性
一見すると左チャンネルの方が良い特性のように感じますが、値としては右チャンネルの方がよく、各周波数の値が揃っていないので綺麗に見えなくて損をしています。NFをかけた後、0.01W(0.2Vrms)のTHD+Nが0.1%を切っていますから、残留雑音電圧の値は0.2mVrms以下であることがわかります。管球アンプの歪率&雑音特性として良い線いっていると思います。


今回の製作で感じたのは、電圧増幅段をオペアンプで組み電源を安定化したことが影響しているのか、球のバラツキが特性にそのまま出てくるということです。特性そのものは悪くないので気にすることはないのですが、良い球と巡り会えるかどうかは大切なことと感じました。


12thdn

左チャンネル THD+N


12thd

左チャンネル THD



34thdn

右チャンネル THD+N


34thd

右チャンネル THD



2016/02/02

EL84ppアンプ 測定結果

(Ⅰ)入出力特性
最大出力を把握するとき、クリッピングポイントが云々と言いますね。クリップの定義ですが、加銅鉄平氏の「オーディオ用測定器と測定技術」によると、”正弦波の頭が平らに切られる状態”となっています。ハード・ディストーションタイプの特性を持つのであれば判別しやすいのですが、NFなし又は少量のNFをかけた真空管アンプでは平らになる前に波形が丸まってしまうので、別の定義を考えた方が良さそうです。今回製作したアンプでは下記のように考えました。

(ⅰ)歪率が1%を超えた出力
   NFなし : 10W
   NFあり : 12W

(ⅱ)ゲインが1W時より5%低下する出力
   NFなし : 14.5W
   NFあり : 15.5W


因みに、1W時のゲインはNFなしで41.1倍、NFありで9.97倍でした。
NF量は12.3dBと計算されます。




Photo




(Ⅱ)ダンピングファクタ
ダンピングファクタはAnalogDiscoveryを使って測定しました。ネットワークアナライザーモードとし、負荷ありと負荷なしとで取得したデータをEXCEL上で計算しグラフ化しています。10KHz以上の帯域でグラフが盛り上がっていますが、これは出力トランスのインピーダンス特性の影響を受けているからです。
NFなしで我が家のPL300をドライブするのはおそらく無理でしょう。NFありでは5強の値を得ています。どのように鳴るのか楽しみです。




Photo_2




参考文献:
  加銅鉄平、オーディオ用測定器と測定技術、誠文堂新光社、1997、p.177