EL84ppアンプ 完成、ヒアリングと考察(3)
今回のアンプ製作で感じたことを書いてみたいと思います。
(ⅰ)予想より音が良かった
長い時間をかけ苦労して製作したアンプですから自画自賛になるのは致し方ありませんが、それほど期待していなかったので少し驚いた次第です。ダンピングファクタが低いことを気にしていたのですが、十分に楽しめます。真空管のアンプは、強い音を再生するときにその頂点に達する直前でふっと力が抜け音の色だけが残って音場が透明になったように感じる、という聞いていて耳に優しい表現が特徴だと思っています。その意味で十分な音質が得られたと思います。
(ⅱ)ものづくりは楽しい
自分で半田ごてを握って組み立て、スピーカから音が出た瞬間の感動は中学時代も今も全く変わりません。日本の電機産業は今ボロボロですが、ものづくりの精神は若い方に引き継いでいってほしいものです。
(ⅲ)部品の入手性はよくなったが高価
私のような地方在住者でも、通販を使えば国内外から様々な部品を入手することができます。東京の大学に行っている友人に秋葉原まで行ってもらったウン十年前とは隔世の感があります。ただ、価格に関してはBtoBの数倍から数十倍の設定です。アンプ製作が贅沢な趣味になっているのは残念です。
(ⅳ)真空管アンプに使える部品が少なくなっている
高電圧で使える部品の品種が少なくなっています。インバータやスイッチング電源向けの部品をうまく料理する技量が求められているのだと感じました。
トランスに関しても、廃業、規模の縮小、撤退が相次いでおり、ユーザーサイドの自由度が小さくなっています。市場規模が縮小し儲からないので、今の現状は理解できるのですが...。
頑張っているメーカーさんにはエールを送りたいと思います。