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2024/05/21

ディジタル部の設計ーーーADCの製作

下図が回路図になります。
Adc_c_01


アナログ部のオペアンプは±12V電源で動作していますから、アナログ入力信号には保護用のダイオードを入れてあります。使用したのはローム製のショットキーダイオードで逆電流の非常に小さなタイプです。バランス信号間に入っている0.01μFはデータシートを、各信号とグランド間に入っている100pFはTIのサンプルボード回路図を参考にしました。これらのコンデンサはADCチップからのパルスノイズを吸収するためのものだと理解しています。

仮想グランドを設定する2.5V信号はオペアンプLT1112を使ったボルテージフォロアを介してアナログ部に送られます。

PCM1804とDIT4192の各端子の接続とプルアップ/プルダウンについてはデータシートを参考にしています。


ディジタル出力はS/P DIFです。DIT4192の差動出力→インピーダンス整合抵抗(75Ω)→1:1のパルストランス→π型アッテネータ→BNCコネクタという経路で信号が流れていきます。S/P DIFの入力側の規格はインピーダンス75Ω 0.2Vpp〜0.6Vppです。出力側はインピーダンス75Ω 0.5Vppです。

下記にπ型アッテネータの設計手順を示します。
Sdc_c_02

下記にディジタル出力回路のシミュレーション結果を示します。
Adc_c_03


Adc_c_04


各抵抗の消費電力は、R3:58.6mW R5:46.1mW R4:11mw R6:0.6mWでした。


下記はBNCコネクタ出力を75Ωで終端した時のオシロスコープ波形です。ノイジーですがほぼ設計通りの電圧振幅が得られていると思います。

Adc_c_05



使っているDDコンバータやDACが信号を認識するか心配でしたが、下の写真の通り問題はありませんでした。
Adc_c_06



Adc_c_07


Adc_c_08




PCM1804のアナログ入力範囲は±2.5Vです。ダイナミックレンジを大きく取るには、アナログ信号振幅をADコンバータの入力範囲ギリギリに設定する必要があります。そのためにアナログ基板にゲインを可変できる回路を盛り込みました。しかし、入力信号のレベルが適切かどうかを判断する仕組みが必要です。幸い、PCM1804は、アナログ信号が入力範囲を超えた時にこれを検出し、OVFL端子またはOVFR端子を1.016秒間Highにする機能が搭載されています。この信号で直接LEDを点灯させても良いのですが、音楽を聴きながらこれを監視するのは無理があります。そこで信号をラッチする回路を設けることとしました。下記にラッチ回路とそのシミュレーション結果を示します。

Adc_c_09


Adc_c_10



下図は入力がオーバーしLEDが点灯した写真です。
点灯する時のPCM1804入力電圧を測定したところ、バランス信号の片側で0.898Vrms(1KHz)でした。このことから、入力のリミットは信号のピークtoピークで5V=電源電圧であることが分かります。

Adc_c_11

入力オーバーが検出されるのは70年代から80年代のレコード盤が多いです。検出する場面ですが、ドラム等の打楽器が強くたたかれたときだけと言ってよいと思います。検出したからといって音が歪んだという印象は受けません。逆に検出されないのは、生産が再復活した後にプレスされた最近のレコード盤です。また、プレスされた年代に関係なく50年代から60年代のジャズやJPOPといったジャンルでは点灯することが稀なようです。



下図はディジタル基板の使用部品リストです。
Adc_c_12





参考文献:
 金田明彦.ハイブリッドバランス電流伝送録音システム MK2[前編].無線と実験.誠文堂新光社.2020-10.p.80−91.

 柴崎功.高速デジタル信号アイソレーター.無線と実験.誠文堂新光社.2011-10.p.116−121.

 本多平八郎.作りながら学ぶエレクトロニクス測定器.CQ出版社.2001.p.35−36




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