ヘッドアンプのノイズ測定
下図はCQ出版から発売されていたローノイズプリアンプキットLNA-1TGKITの基板写真です。
このキットは面実装部品があらかじめ半田付けされています。それ以外の部品の半田付けと初段FETの選別は購入者が行います。ゲインは1000倍固定です。100倍と切り替えができれば使いやすかったと思います。残念ながら現在は販売されていません。
今回のようにインピーダンスの低い回路の測定ではバイポーラプロセスのオペアンプをそのまま使うことができます。自作するのであれば、CQ出版社から出ている「作りながら学ぶエレクトロニクス測定器 本多 平八郎 (著)」の”第7章 低雑音ヘッド・アンプの設計と製作”が参考になります。
ノイズの測定はバランス回路の片側を測定しました。下図に示す2SK2145+ADA4898とオペアンプ単体の40dBアンプ回路を測定しています。今回製作した±12V安定化電源を使っています。基板は裸状態で、周囲をシールドするといったことをしていないのでデータは少し悪く出るかもしれません。
冒頭の写真に写っているパナソニックのオーディオアナライザVP-7725Bには各種フィルタが搭載されています。AフィルタとAUDIOフィルタを使いました。
測定した結果を下図に示します。
参考文献に入力換算雑音密度をオシロスコープで測定する方法が紹介されています。オシロスコープで観測したP-P値を6.6で割って実効値に変換した後アンプのゲイン値で割って入力換算雑音電圧を求め、さらに等価雑音帯域幅で割ることで入力換算雑音密度が得られるというものです。
私もアナログオシロとディジタルオシロの両方を使ってチャレンジしてみました。いろいろ試した結果、ディジタルオシロで連続サンプリングを実行しその時に表示されるP-P値を追っかけていき最大値を採用するということにしました。上図表の”ノイズ オシロp-p値(mV)”はこの方法で測定した結果です。この値から入力換算雑音密度を計算しました。シミュレーションやオペアンプのデータシートよりは若干大きめですが、安価な測定器を使ってのデータとしては満足できる値であると考えます。
上図表には出力ノイズ電圧をオーディオアナライザVP-7725Bを使って測定した結果も載せています。オーディオではおなじみのAフィルタと20KHzでスパッと切れたAUDIOフィルタを用いました。上図表一番上のAUDIOフィルタでの測定値17.4mVrmsをゲインと等価雑音帯域幅で割ると1.23nV√Hzとなり、オシロスコープで測定した値と大きく違わない値が得られました。
ここではヘッドアンプ単体のノイズデータを紹介していますが、パワー・アンプを接続してスピーカーから雑音がどの程度聞き取れるかが気になりますね。私のシステムで確認したところ、ボリュームを普段聴く音量の位置にしてリスニングポジションからノイズは聞き取れませんが、ボリュームをMAXにするとはっきりサーという音が聞こえました。上記表の結果通り、入力換算雑音密度の小さいアンプほどサー音は小さくなります。同じCR型フォノアンプであるフェーズメーションのEA-200と比べました。上記自作アンプどのタイプもEA-200よりサー音が小さいという結果になりました。しかし、友人から借りたmicro iPhono 3 はとても優秀で、ボリュームMAXでもノイズは聞こえませんでした。micro iPhono 3 の初段はバイポーラトランジスタを使用しています。イコライザーアンプにはNF型を採用しているのではないかと思われます。今回私が製作したアンプのノイズレベルはCR型フォノアンプの限界なのかもしれません。
等価雑音帯域幅については参考文献に挙げた「計測のためのアナログ回路設計」に詳しく解説されています。
参考文献:
遠坂俊昭.計測のためのアナログ回路設計.CQ出版社.1997.p.11−24.
小川一朗.抵抗の熱雑音が見える1nV/√Hz亭雑音プリアンプ.トランジスタ技術.CQ出版社.2014-8.p.94−111.
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