フォノアンプーーー考察
【音質】
フェーズメーションのEA-200より少し音が良ければと思って製作を始めたのですが、音出しをしてびっくりでした。EA-200より高価なメーカー製フォノアンプ と比較しても負けていません。これまで何を作ってもダメ出しをしていた友人が、これは聞くに値する良い音だと褒めてくれたほどです。
後付けになるかもしれませんが、音質向上に役立ったと思われるポイントを挙げてみます。
・2SK2145の分解能がよく明るいキャラクター
・JFET+オペアンプを組み合わせることで裸ゲインが大きくなりNFB量が増加した
・EQアンプ部に採用したオペアンプOPA627が高音質である
・安定化電源、アンプ部とも電解コンデンサを使わず全てフィルムコンデンサを採用した
その他では、薄膜抵抗やルビコンのH2Dフィルムコンデンサの採用、カップリングコンデンサを使わない直結回路、電源ユニットの分離などが挙げられます。それぞれがどの程度音質を向上させているのかということは分かりません。
しかし、分解能が良いため古めのレコードは録音の粗がそのまま出てしまいがっかりするということがありました。その点、メーカー製のアンプは尖ったところを抑え何を再生してもソツなくこなすという業を心得ています。どの時代のどのジャンルをどんなポリシーを持って再生するかということで、回路方式を選択したり音質のチューニングをしたりしなければいけないということが分かりました。
【入力抵抗】
30Ωから480Ωまで変化させて試聴しました。
・30Ωは高域が明瞭でビッグバンドのホーンの音は良いものの低域に厚みがない。ピアノの音がそれっぽくないというか実体感の無い音に聞こえる。
・480Ωは低域が厚く高域が薄い。そのためビッグバンドのホーンが一斉に鳴り出した時の音が明瞭でなくシャンシャンというような音に聞こえる。
上記の感想だけを読むと大きな差があるように思われるかもしれませんが、その差はわずかで楽曲によっては気にならないことも多かったです。カートリッジとケーブルの組み合わせで最適な負荷抵抗があるのでしょうが、それは時間をかけなければ見つけられないでしょう。最適な値でなくても普段のレコード再生には全く問題とならない、ということが確認できたのでよかったと思います。ちなみに、ラックに収まり常用フォノアンプとして活躍している現在、負荷抵抗は200Ωです。
【発振】
ヘッドアンプ基板は発振して一度失敗しています。失敗した基板ではMCカートリッジ用の回路だけでなくゲイン5倍のMMカートリッジ用の回路も発振しました。
失敗基板と成功基板との差は以下の通りです。
・インスツルメンテーションアンプの構成を取っている
→バランス回路のホット側とコールド側をそれぞれ独立したアンプとした
・FETのゲートをまとめフェライトビーズを挿入
→10オームの抵抗をFETそれぞれのゲートに挿入
・プリント基板が2層である
→4層基板に変更
発振の原因ですが、一つは使用したオペアンプADA4898がとても発振しやすい素子であるということです。試していないので想像になりますが、他の安定と言われているオペアンプに変更したら発振現象は止まったかもしれません。
もう一つは、インスツルメンテーションアンプの構成が発振しやすい回路なのではないかということです。ただ、シミュレーションしてもうまく解析できなくて想像の域を出ません。
いずれにせよ、ADA4898とインスツルメンテーションアンプの組み合わせは避けた方が良いと思います。4層基板まで必要かどうかは分かりません。信号ラインを短く最適化し電源グランドラインの幅を確保し発振しにくいオペアンプを使用すれば2層板でもいけるのではないかと考えています。
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