コンテンツ

« Humminguru 超音波レコードクリーナー | トップページ | DCサーボ付フラットアンプの設計 »

2022/08/09

CR型RIAA定数の設計

Photo_20220809065201

上図はRIAA再生特性の値とそのグラフになります。JIS S8601(1994年廃止)の値をひっくり返したものです。

藤原氏のWebページ(参考文献:”RIAA カーブ”)には、JISに「とことどころ計算間違いがあります」というショッキングな文言が書かれています。しかし、「ほぼ正しいい」とも書かれており今回はJISの値をベースに考えていきたいと思います。


バランス型CR型イコライザー回路の設計については栗原氏が無線と実験の2009年1月号で説明されています。下図の通り、入力の抵抗を半分の値にしてホット側とコールド側に配置すれば、アンバランス型からバランス型への変換ができるというものです。
Photo_20220809065501



藤原氏のWebページ(参考文献:”RIAA Equalizer”)に偏差が非常に小さくなる抵抗とキャパシタの定数が示されています。出来るだけ藤原氏計算の値に近くなるよう、抵抗をE48系列からキャパシタをE24系列から選んで設計し直してみました。
Photo_20220809065502



上記値を採用しても良かったのですが、CR型イコライザー回路の前段はオペアンプで出力インピーダンスが十分低いこと、抵抗の熱雑音が気になったこと等で抵抗値を一桁ほど小さくしてみました。コンデンサには無線と実験2021年1月号の池田氏の記事で評価の高かったルビコンのH2Dを使用することを決めていましたので、購入可能な値の中から選択しなければいけないという制約がつきました。
再設計したCR型イコライザー回路を下図に示します。
Photo_20220809065601



各定数の差をシミュレーションで確認しています。
Photo_20220809065701



下図にシミュレーションから得られたRIAA偏差のグラフを示します。
Photo_20220809065702

サンプル1は、よく使われている定数でシミュレーションした結果です。サンプル2は、藤原氏計算の値に近くなるよう私が定数を再設計したものです。3番目は今回のアンプ製作で採用した定数をシミュレーションした結果です。
実際の製作では抵抗やキャパシタには誤差があります。測定にも誤差はつきものです。シミュレーション結果が良かったといっても実現性には?マークがつくと思います。それでも、ここまで設計で追い込めるということが確認できた、ということに意味があると考えています。




参考文献:
  藤原武.”RIAA カーブ”.The Art of Analog Circuits.2006-04-15.http://wista.jp/RIAA.htm,

  藤原武.”RIAA Equalizer”.The Art of Analog Circuits.2014-07-12.http://wista.jp/RiaaEq.htm,

  栗原信義.フォノイコライザーアンプ [前編].無線と実験.誠文堂新光社.2009-01.p.122−129.

  池田平輔.オペアンプ,コンデンサ,電源を換えての比較試聴.無線と実験.誠文堂新光社.2021-01.p.104−109.




« Humminguru 超音波レコードクリーナー | トップページ | DCサーボ付フラットアンプの設計 »

フォノEQアンプ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« Humminguru 超音波レコードクリーナー | トップページ | DCサーボ付フラットアンプの設計 »