フォノアンプの構想ーーー構成
【全体構成】
・アンプユニットと電源ユニットを別筐体とする
電源回路とアンプ回路を分離して十分なSNを確保すること、KT88プッシュプルアンプの電源ケースと接続ケーブルが流用できること、この2つの理由によるものです。
・バランス回路を基本とする
MCカートリッジのような低インピーダンス回路では、バランス伝送による同相信号雑音の改善効果はほとんどありません。逆にアンプ部の物量が2倍になることでノイズはアンバランスに比べて√2倍になってしまいます。メリットとしては、グランドラインに信号電流が流れない回路構成をとることができる、バランス入力タイプのADコンバーターに直接接続できる、ケーブルのシールド効果が期待できるということが挙げられます。それと、キャノンコネクターって信頼性の高いプロ用というイメージがありますよね。
・アンプユニットの回路は左右別の基板に実装する
電源と筐体全てを左右別々にすべきかもしれませんが、今回はアンプユニットの基板のみ左右別々とします。
・表面実装基板とする
ディップタイプの部品しかない場合を除いてチップ部品を使用します。半田付けが心配と思われるかもしれませんが、拡大鏡と専用の治具があればディップ部品より安定した半田付けが可能です。
・アンプユニットには電解コンデンサを使用しない
±12V安定化電源とアンプ回路にはフィルムコンデンサとマイカコンデンサを使用します。ただし、リレー回路のパスコンには電解コンデンサを使用します。
【ヘッドアンプ】
・入力換算雑音密度1nV/√Hzを目指す
MCカートリッジ用のアンプはJFETとオペアンプを組み合わせ、入力換算雑音密度1nV/√Hz(アンバランス接続時)を目指します。ゲインは40dBとします。入力抵抗は可変とします。
・MMカートリッジ用アンプのゲインは14dB
オペアンプを使ったインスツルメンテーションアンプとし、アンバランスからバランスへの変換を行います。ゲインは14dB(5倍)です。入力容量は可変とします。
・オペアンプ並列型の基板も作成する
オペアンプ単体の音質比較を行うために別途基板を作成します。JFETとオペアンプを組み合わせた回路よりオペアンプ単体の音質が良かった場合、この基板を採用した上で、オペアンプを並列接続して入力換算雑音密度を下げられるようにします。
【EQアンプ】
・CR型RIAAイコライザー回路を採用
NF型の方がSNをよくできそうですが、発振の心配が無くて作りやすいCR型を採用することにしました
・フラットアンプにはOPA627を使用する
高価ですがオペアンプにはバーブラウン社(現在TI)のOPA627を使用します。私がこれまで使ってきたオペアンプの中で最も音質が良いと言えるものです。(DipタイプはDigi-Key からEnd of Lifeの案内が出ています)
ヘッドアンプで40dB、CR型イコライザーで−20dB(1KHz)なので、トータルゲインを60dBにするためフラットアンプのゲインを40dBとします。バランスからアンバランスに変換する回路を設けますが、この回路にもOPA627を使用します。
MCカートリッジの出力をバランスで受けるため、負荷抵抗は値の半分の位置をグランドに接続しています。従って、バランス回路のホットとコールドそれぞれはカートリッジ出力の半分を増幅することになります。前回のブログ記事で検討した60dBのゲインは、ホット側とコールド側の電圧を足すことによって、すなわちバランスからアンバランスに変換する回路を通して得られることになります。
・DCサーボ回路を採用する
オフセット電圧の吸収のためにDCサーボ回路を採用します。DCサーボのカットオフ周波数を10Hz前後に設定してサブソニックフィルターの機能も併せ持つようにします。
・ミュート回路
電源投入時のポップ音を消すためにミュート回路を設けます。MC/MMの切り替えとミュート回路にはリレーを用います。
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