フォノアンプの構想ーーーゲイン
【フォノアンプのゲイン】
私はアキュフェーズのデジタルイコライザーDG-58を使用して部屋の音響特性を補正しているのですが、アナログ信号に関しては内蔵されているADコンバータを使ってデジタル信号に変換しています。DG-58を使っている方はご存知と思うのですが、アナログ信号の最大入力は以下の通りとなっています。
+6dBレンジ:0.89V、
0dBレンジ:1.78V
-6dBレンジ:3.55V
この電圧を超えると赤色のインジケータが点灯します。これまで使っていたフェーズメーション製のフォノアンプEA-200(ゲイン63dB)とカートリッジPP-300(0.28mV)の組み合わせでは-6dBレンジを使っていました。
ADコンバータのダイナミックレンジを有効にに使うには、フォノアンプのゲインを最大入力電圧を超えないギリギリの線に設定する必要があります。そのためには、カートリッジから最大どのくらいの電圧が出てくるのかを知らなければいけません。このことに関してとても参考になるページを見つけました。
■アナログレコードの基礎3
<カートリッジの出力信号電圧はどれくらいか>
http://www.op316.com/tubes/vinyl/lp-basic3.htm
この記事の中に、最大出力はカートリッジの公称出力電圧の7.1倍という数字が過去の文献(出典不明)に載っているが、筆者の調査では6.2倍であったということが書かれています。
PP-300の公称出力電圧は0.28mVです。DG-58のアナログ入力を0dBレンジ:1.78Vで使うとして、7.1倍という数値を使うと
1780➗(0.28✖️7.1)=895倍(59dB)
6.2倍という数値を使うと
1780➗(0.28✖️6.2)=1025倍(60.2dB)
がフォノアンプに必要とされるゲインになります。
どちらの数字を採用するか迷ったのですが、キリのいい数値ということで、製作するフォノアンプのゲインは60dBとしました。
【設定のゲインの妥当性】
第1回目の記事ですが、ここでフォノアンプ製作後の結果を書いておきます。
PP-300を使いDG-58のアナログ入力を0dBレンジ:1.78Vで使ったところ、ジョー・サンプルの「渚にて」で入力オーバーを示すインジケータが点灯しました。フレーズ最初のピアノのアタック音で点灯することが多かったと思います。
上記紹介の参考ページでもジョー・サンプルの「虹の楽園」が最大音量レコードとして記載されています。どうもジョー・サンプルのレコードはカッティングレベルが大きいようですね。
カートリッジのバラツキもありますが、ゲインをもう1dB〜2dB下げておけばよかったかもしれません。しかし、インジケーターが点灯するのはほんの一瞬で、曲によっては点灯しないこともあります。聴いていて明らかに歪んでいるとは感じられませんでした。
手持ちのレコードを100枚ほど確認したところ、音量レベルは大中小の3種類があるように感じました。私が使っているBrooklyn DAC+のボリュームは1dB刻みなのですが、大と中の差と中と小の差は3ノッチ、すなわち3dBではないか(正確に測定したわけではありませんが)という印象です。
ほとんどの音量は中レベルなのですが、ジョー・サンプルのレコードのようにまれに大レベルが存在します。同様に小レベルも存在します。最近発売されたジャズのダイレクトカッティングレコードは小レベルでした。
ひょっとしたら、カッティングマシンのレベル調整が3dB刻みだったりするのかもしれませんね。
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