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2020/10/02

EAGLE入門 第三章【ボード図】 DRC プリント基板仕様の読込み

Drc000


(6)プリント基板仕様の読込み

プリント基板メーカーは自社で製造可能なプリント基板の仕様を公開しています。設計者はこの仕様の範囲内でパターン設計を行うことになります。各メーカーの設計基準は下記の通りです。

P板.com
ユニクラフト
PCBgogo
Seeed FusionPCB

EAGLEにはメーカーの製造基準を読み込んで自動的にチェックする機能があります。それがDRC(Design Rule Check)です。標準的な製造基準が書き込まれたファイル default.druが用意されています。自社の製造基準に合わせたEAGLE用のファイルを独自で提供しているメーカーもあります。

P板.comではEAGLE用の製造基準ファイルを準備しています。

Drc01



Seeed FusionPCBでも用意されています。

Drc02


ここでは、DRCの内容を説明しながら、上記プリント基板メーカー4社のどこでも製造できる2層板用のDRCファイルを作成していきます。


サイドツールバーで”DRC”アイコンをクリックします。

Drc03


DRC設定ウインドウがポップアップします。ウインドウの上に”DRC(default)”と表示されていると思います。すでにデフォルトファイルが読み込まれていることを示しています。その下に10個のタブが用意されています。左端の”File”はホームタブで、その右側に続く9個のタブが製造基準設定タブになります。

”DRC(default)”が表示されいない場合は右下にある”Load...”ボタンをクリックしDRUファイルを読込みます。

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design rulesというフォルダがポップアップしますから、ファイル default.dru を選択して”Open”ボタンをクリックします。

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◎ Layers

基板の層数を指定します。下の方にプルダウンメニューがありますから2層 ”2 layers”を選択します。その他、基材と銅箔の厚さを指定できますが、発注時に必要となる項目でEAGLEで設計している時には意識する必要がありません。各メーカの標準は基材の厚さが1.6mmで銅箔が0.035mmだと思います。

Drc004  



◎ Clearance

導体間の最小距離です。各メーカの製造基準は下記の通りです。

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6mil以上であれば全てのメーカがOKになるのでデフォルトのままにします。

Drc005  


◎ Distance

導体と基板端の最小距離もしくは導体と穴端の最小距離です。各メーカの製造基準は下記の通りです。

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国内メーカの製造基準が最も厳しいのでそれに合わせます。体と基板端の最小距離を0.5mmにします。
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導体と穴端の最小距離も0.5mmにします。
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◎ Sizes

最小導体幅(=最小パターン幅)と最小ドリル径です。最小導体幅は各メーカの製造基準で下記の通りとなっています。

Drc12




6mil以上であれば全てのメーカがOKになるのでデフォルトのままにします。
Drc010  

最小ドリル径は各メーカの製造基準で下記の通りとなっています。

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ユニクラフトだけが0.25mmで他は0.3mmです。最小ドリル径は0.3mmにします。
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◎ Annular Ring

パッドとランドの最小寸法です。ライブラリで使われているフットプリントはここで規定されている寸法より十分大きいので気にすることはありません。注意しなければいけないのは部品面のパターンと半田面のパターンとをつなぐビアのランド径です。ランドの半径からドリルの半径を引いた寸法を「ビア最小ランド座残り」と呼び、各メーカの製造基準で下記の通りとなっています。

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DRCの画面でこれを指定するインプットボックスは下図で赤く囲んだところです。
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実際のボード図で確認していきます。

サイドツールバーで”Route Airwire”をクリックし配線作業を始めますが、この際に「ビア最小ランド座残り」を指定するところは上ツールバーにある”Diameter”コンボボックスになります(下図参照)。入力する値が直径なので、製造基準に合わせるにはドリル径から計算することになります。面倒臭いので普通は auto を選択します。そうすると上図で赤く囲んだ所の数値をもとにランドの寸法が自動的に計算されることになります。

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ボード図上のビア寸法がどうなるか見てみましょう。

線幅は0.6mm(緑色矢印)にしています。部品面の配線と半田面の配線をビアでつなげています。ビアのドリル径は0.6mm(青色矢印)にしています。グリッドは分かりやすいように0.1mmに設定してあります。

”Diameter”が auto に設定してあると、DRCで設定した(Min値)と(ドリル径 X %値)の大きい方が選択されます。ただし、(Max値)より大きな値をとることはできません。

下図は (Min値)=0.2mm で(ドリル径 X %)= 0.6mmX0.25=0.15mmなのでランド座残りは0.2mmになります(赤矢印)。

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下図は (Min値)=0.2mm で(ドリル径 X %)= 0.6mmX0.5=0.3mmなのでランド座残りは0.3mmになります(赤矢印)。

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◎ Shapes、Supply、Masks、Misc

今回は設定を変更する必要はありません。
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各タブで値を確認、変更したならば Fileタブに戻り内容を保存します。”Save as ...”ボタンをクリックします。
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design rulesフォルダがポップアップします。「My_DRU_l2」という名前で保存しました。
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Fileタブに戻ります。現在設計中のボード図に適用するため必ず”Apply”ボタンを押します。
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◎ エラーの表示

”Check”ボタンをクリックするとボード図のチェックが実行されます。下図はエラー表示の例です。エラーの箇所が白い線で示されていて、ここではクリアランス不足(導体間の距離が狭い)を指摘されています。

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上図は意識的にエラーを発生させたものです、実際に配線作業を行う際には、下図に示すようにDRCで規定したクリアランスが自動的に取られ、DRCを無視して近づけようとしてもできないような仕組みになっています(赤矢印で指したところのクリアランスです)。

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