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2020/08/11

EAGLE入門 第一章【セットアップ】 プリント基板設計の流れ


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基板の設計は、【ライブラリの準備】➡️【回路図作成】➡️【部品配置】➡️【パターン設計】➡️【出図作業】という手順で行います。パターン設計はアートワーク設計と言われることがあります。


(1)ライブラリの準備

EAGLEでは回路図作成画面とボード図作成画面(基板設計画面)の二つがペアとなっていて、回路図作成画面の内容がボード図作成画面に反映されるという仕組みになっています。回路図作成画面で使用する記号をシンボル(Symbol=回路図記号)、ボード図作成画面で使う記号をフットプリント(Footprint=実装記号)と呼んでいます。この二つを関連づけたものをデバイス(device=部品)と呼び、デバイスを種別にまとめたものがライブラリです。


EAGLEのライブラリにはたくさんのデバイスが標準で用意されています。自分で作成せずとも用意されたデバイスだけで十分設計が可能です。オペアンプは型格が違ってもピン配置が同じものが多いですから、そのまま使って大丈夫です。回路図に表示される型格は後から変更可能です。また、抵抗やコンデンサは外形や端子の大きさがだいたい同じであればそのまま使って問題ありません。


下図はアナログデバイセズのAD797の例です。
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下図はデバイス作成画面です。左上にシンボル右上にフットプリントが表示されています。それぞれエディタが用意されています。
Photo_20200811065502


下図はシンボルのピンとフットプリントのパッド(ビア)を関係付ける画面です。Photo_20200811065601

EAGLEにはたくさんのデバイスが標準で用意されています。それでも私は自分専用のライブラリを作成することをお勧めします。その理由はいろいろあるのですが、最大の理由はランド径やパターン幅とその間隔を自分流に管理できることです。EAGLE標準のライブラリは、充実していて便利なのですが寄せ集め的な感じがして、統一された基準で作成されていないような気がしています。



(2)回路図作成

回路図やボード図は、”projects”の中にフォルダを作成しその中で管理します。”新規フォルダ”の作成ではなく”New project”の作成というところが普段のPCソフトと違うところです(下図)。

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作成したフォルダに”New schematic”で新しい回路図ファイルを作成し、そのあとリネームして自分のつけたい名前に変更します。


ライブラリで部品を選択して回路図作成画面の上に配置して行きます。回路図はフレームを置いてその上に描くのがよいと思います。フレームもライブラリに用意されています。部品を置いた後、端子と端子を接続して回路図を完成させます。

下図はEAGLEに用意されていたサンプル回路図です。
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(3)部品配置

小さくてわかりにくいですが、回路図作成画面の左上にある緑の”BRD”アイコンをクリックするとボード図作成画面が開きます。Photo_20200811065801

初めから基板の外形図が描かれています。これはいつでも変更できます。

プリント基板の出来の良し悪しは部品配置で決まると言われています。ここに十分な時間を割いて、これ以上ないという最善の配置を考えてください。



(4)パターン設計
パターン設計に入る前にDRC(design rule check)ファイルをロードします。このファイルには、配線の最小幅、配線と配線の最小間隔、配線とパッドやランドのと最少間隔、基盤端部と配線の最小距離等々の数値が入っています。これはプリント基板メーカーが仕様書としてまとめているものをファイル化したものと考えられます。実際、EAGLE用のDRCファイルを用意しているプリント基板メーカーがあります。自分で数字を入力し作成することもできます。


下図はEAGLEに用意されていたサンプルボード図です。T分岐があって良い配線とは言えません。
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パターン設計は楽しい作業です。うまく通らなくていろいろ考える、脳味噌の老化対策にとても良いと思います。



(5)出図作業

シルク印刷する文字の体裁を整え、DRCを行い完成となります。一部メーカーを除きEAGLEのファイルは受け取ってもらえません。米国電子工業会(EIA)で規格化された RS-274Dフォーマットもしくはその拡張版のRS-274Xフォーマットに変換してプリント基板メーカーが読み取れるファイル形式にします。変換したファイル群をガーバーデータと言います。ガーバーデータに書類送付状と外形図を添付してメーカーに送ります。ガーバーデータだけで製造してくれるところも多いようです。




EAGLE入門の全体構成は下記の通りです。


第一章 セットアップ
(1) プリント基板とは
(2) ソフトウエアのインストール
(3) プリント基板設計の流れ

第二章 回路図
(1) プロジェクトを作成する
(2) 回路図ファイルを作成する
(3) 部品をライブラリから呼出す
(4) グリッドを表示する
(5) ラインカーソルを表示する
(6) ページを増やす
(7) 部品を回転する
(8) 部品を左右反転する
(9) 部品をコピーする
(10) 部品を削除する
(11) 部品を移動する
(12) 部品グループを移動する
(13) 部品をページ間で移動する
(14) 配線
(15) 配線を削除する
(16) 配線の接続確認
(17) ネット名を表示する
(18) ネット名を変更する
(19) ライブラリのシンボルを使って電源グランドを明示する
(20) 部品番号を変更する
(21) 部品名を変更する
(22) 文字サイズを変更する
(23) ロジックIC 電源グランドの呼出し
(24) ロジックIC ピンを入換える
(25) ロジックIC ゲートを入換える
(26) 三端子レギュレータ電源の回路図を作成する
(27) 回路図をチェックする
(28) 回路図画像を保存する

第三章 ボード図
(1) ボード図入力画面へ入る
(2) グリッドを表示する
(3) 基板外形を描く
(4) 丸穴を描画する
(5) 長穴を描画する
(6) DRC プリント基板仕様の読込み
(7) 部品を移動する
(8) 部品を回転する
(9) 部品を部品面/半田面間で移動する
(10) 配線
(11) 配線を削除する
(12) ビアを配置する
(13) 同一ネットをハイライトする
(14) クイックルート/自動ルート修正機能を使う
(15) ポリゴンでベタパターンを描く
(16) ポリゴンの詳細設定
(17) 文字の移動と文字サイズの変更
(18) 三端子レギュレータ電源のパターン配線 その1
(19) 三端子レギュレータ電源のパターン配線 その2
(20) ボード図画像を保存する

第四章 出図作業
(1) メーカーへ送付するファイル
(2) P板.com提供のCAMファイルでガーバーデータを作成する
(3) Fusion PCB提供のCAMファイルでガーバーデータを作成する
(4) フリーのガーバービュアーソフト garbv を使う
(5) Online Gerber Viewer と P板WEBチェッカーを使う
(6) Fusion Gerber Viewer と PCBgogo Gerber Viewer を使う

第五章 ライブラリ
(1) マイライブラリの必要性とライブラリ作成の流れ
(2) 標準ライブラリのシンボルをそのままコピーする
(3) 標準ライブラリのシンボルを加工して使う
(4) 三端子レギュレータ電源のシンボルを作成する
(5) シンボルを新規に作成する
(6) 標準ライブラリのフットプリントをそのままコピーする
(7) 標準ライブラリのフットプリントを加工して使う
(8) 三端子レギュレータ電源のフットプリントを作成する
(9) フットプリントを新規に作成する
(10) 標準ライブラリのデバイスをそのままコピーする
(11) デバイスを新規に作成する
(12) 三端子レギュレータ電源のデバイスを作成する

 

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