20W/4Ω D級アンプ 考察
【技術的課題と反省点】
(1)出力段IXDN630の貫通電流が大きい
この石の使用目的はMOSドライバーなので酷な話かもしれませんが、発熱も大きいし他チャンネルへの影響も無視できないレベルでした。おそらく、デッドタイムコントロールがされていないのでしょう。D級アンプの出力段には向いていないと思います。
(2)プリント基板の設計は丁寧に
上図は失敗したプリント基板の図面です。出力段の貫通電流の影響もあって、片チャンネルだけだと正常動作しますが2チャンネル同時だと誤動作して使い物になりませんでした。複数チャンネルを同一基板に実装する場合には、電源グランドラインの分離と配線長に注意し部品配置の検討に十分時間を取るようにしたいものです。
(3)電源電圧は高い方が良い
今回は±12Vとしましたが、スピーカ出力の変動に対して電源電流の変化が大きく、その結果として電源電圧が変動しD級アンプの歪みが増加します。トランスの容量や各部の発熱は計算上のアンプ出力最大値の30%から50%で計算すれば十分だと思います。その範囲のアンプ出力しか出ないと割り切り、電源電圧を高くするべきと考えます。
(4)電源は安定化した方が良い
D級アンプの出力段はは電源と一体になって動作するため電源の出力インピーダンスの影響を強く受けます。可聴帯域で低インピーダンスな安定化電源が望まれます。もちろん、電源電圧は安定している方がアンプの歪みに有利です。
【音質】
歪率の測定時から気がついていたのですが、SNが良くてとにかく静かです。真空管アンプでは無音時静かでも音楽が始まると音の周りにノイズを引き連れている感覚がありますが、そんな感じは全くありません。分解能もよく楽器間で音が埋もれるような感じはありません。中低音も真空管アンプとは異なるオーディオ的快感を感じさせるものです。
ところが、しばらく聞いていると聞き疲れしてきます。楽器や音声が一体となって心地よい音楽を聴かせるのではなく、一つ一つの音が無機的にスピーカから発せられている印象です。分解能が良いというのも、極端な言い方をすると、ピアノの中に耳を突っ込んで聞いているような感じでキツイ印象という表現に変わってきます。さらに、スピーカとスピーカの間に膜が張ってあって音の粒子が膜の上に張り付いている、音の粒子が自由に動けない(抽象的な表現で申し訳ありません)という感じを受けます。よく使われる表現ですが、デジタルアンプ臭のする音ということになるのでしょうか。
【非安定化整流電源とスイッチング電源との比較】
低域はスイッチング電源の勝ちと言えます。非安定化電源の方の低音は天上につかえている感じがします。しかし、スイッチング電源の音は少々キツイです。こめかみのところに音つぶてが飛んできて痛いです。前記の突っ張った感じはさらに強くなり、音楽は楽しくないです。オーディオ用に開発された電源ではありませんし、出力コンデンサの容量も合っていないと思います。
D級アンプの音質は電源の良し悪しで決まる、というより電源とアンプは一体のものであると考えるべきなのでしょう。
【ニュープライムSTA-9との比較】
自作品がSTA-9より優れていると感じるのはSNと分解能です。しかし、音楽を楽しく聴かせるのはSTA-9の方です。低域もガチガチの分解能で聴かせるのではなく量感を適度に含ませて心地よさが感じられるようにしています。誰が聞いてもSTA-9の方が良いと言うでしょう。
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