20W/4Ω D級アンプ PWM変調回路
下図はPWM変調の実験回路です。
初段オペアンプの2ピンがサミングポイントとなっていて、二つの10Kオームから流れ込む電流が220pFの充放電時間を変化させ、コンパレータ出力にPWM変調されたディジタル信号が出力されます。
PWM変調デューティは入力電圧に比例します。デューティのリニアリティはシミュレーションで観測可能です。私の持っている測定器では詳細なデューティ測定ができないので、実験では歪率を測定して確認することにしました。そのために、2段のCRローパスフィルタを追加しています。
下図はシミュレーション回路と正弦波を入力した時の結果です。ローパスフィルタで取りきれなかった搬送波成分が重畳しています。ゲインは1です。
下図はPWM変調回路のデューティのリニアリティと周波数変化を確認するためのシミュレーション回路です。入力を2.5Vから4.9Vまで0.1V刻みで変化させた時のデューティと周波数を計算し、ログファイルからグラフを作成させるものです。
下図はデューティのリニアリティのグラフです。この図を見る限りほとんど直線ですが、理想的な直線との差が最大で0.3%ほどありました。
下図は周波数の変化を示すグラフです。自励式PWM変調回路は、デューティのリニアリティはバッチリですが周波数変化は大きいようです。自励式PWMの発振周波数はPCMのサンプリング周波数のようなものだと考えると、発振周波数変化の小さい領域で使うのがよいと思います。
1KHzの歪率を測定しました。ユニバーサル基板で実験していますからノイズ成分が多いです。参考文献の63ページにある歪率はTHD+Nと書いてありますが、私の実験ではTHDでしか同じ特性を得ることができませんでした。
下の写真は使用している歪率計VP-7725Bのフィルタ選択画面です。真空管アンプの測定では80KHzのローパスフィルタしか使いませんが、今回のようにノイズ成分が多い場合には歪率計の前段に配置されている20KHzのローパスフィルタもオンにしておきます。
参考文献:
本田潤[編著]、D級/ディジタル・アンプの設計と製作、CQ出版社 、p.57−79(黒田徹執筆)
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