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2019/10/01

20W/4Ω D級アンプ ローパスフィルタ

PWM復調部のLCフィルタのシミュレーションと実験です。


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遮断周波数と負荷インピーダンスが決まればコイルとコンデンサの値は計算で求めることができます。しかし、求めた値は半端な数字になることが多く部品選択に困ります。複数の素子を並列接続/直列接続することも可能ですけど、そこまでするかという気持ちになってしまいます。
今回は計算結果からは外れてしまいますが、D級アンプ製作例で使われているコイルとコンデンサの値が使えるのか、シミュレーションして確認したいと思います。

 

下図は2次ローパスフィルタを使ったSE(シングルエンド)接続のシミュレーション結果です。Lの値は22μH、Cの値は0.47μFです。


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下図は2次ローパスフィルタを使ったBTL接続のシミュレーション結果です。Lの値は10μH、Cの値は1μFです。


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PWM搬送波500KHzの減衰率は褒められた値ではありません。可聴帯域内の特性をみると、4Ωでも8Ωでも上下の暴れは許容範囲内と考えます。



参考文献にはコア材ごとの性質が書かれています。多くの種類は集められませんでしたが、いくつか実験してみました。


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          サガミエレク7G14Nシリーズ



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          Wurth Electronics Inc.フェライトポットコア



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          Bourns Inc.カーボニルコア


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          Bourns Inc.センダストコア



サガミエレクの製品はマルツ電波で、他の3製品はデジキーで購入しました。どの素子を使っても回路の動作に問題はありません。

 

歪率を測ってみました。上の写真のような環境で測定していて不安定ということはありませんでした。


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サガミエレク製のコアで良い特性が得られました。素子の歪は磁気回路のリニアリティで決まるので大きなコア容量を持っていれば歪率は問題ないのではないかと推測していました。しかし、実際に測定してみるとTHDで差が明確に現れました。この結果をどのように捉えれば良いのか分からないのですが、インダクタの実装状態で磁気回路が影響を受けるのではないかと考えています。どのように実装すると良いのかということまでは確認できていませんが、磁束の流れをシールドするようなもの(基板のグランドプレーンとかヒートシンク)があると良いのかもしれません。

 

 

参考文献:
   本田潤[編著]、D級/ディジタル・アンプの設計と製作、CQ出版社 、p.125−135(黒田徹執筆)、p.137−153(平川大司執筆)




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D級20W仕組み」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。中華アンプの改造について調べていてこちらにたどり着きました。
BTL接続のグラフで褒められた値でないということは、減衰量が足りないということでしょうか?
実際のところ、PWM周波数をどれだけ減衰できればよいものでしょうか。

naobow様
コメントを頂き、ありがとうございます。

目標とする減衰量が書いてなかったのと表現が大げさすぎたと反省しています。
目標値は−40dB/500Khzでした。
BTLのシミュレーションで目標値までいかなかったのであのような表現になってしまいました。

スピーカーシステムも人間の耳もLPFの特性を持っていますから、
搬送波を30dBから40dB減衰できれば十分だと思います。
しかし、個人の責任で使うのではなく製品レベルを目指すとなると、
EMI(電磁妨害放射規制)に通らなければいけないので、
さらに大きな減衰量が必要になると思います。

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