20W/4Ω D級アンプ D級アンプの構成
私がD級アンプに興味を持ったのはニュープライムのSTA-9を購入してからです。中低域の圧倒的な解像感と滑らかな高域、持っているCDをずいぶん聞き直しました。誰に聴かせてもこれ良いねと言ってもらえる製品です。
書籍で勉強しているうち自分でも製作出来るのではと思い実験を始めました。はじめは実験だけで終わるはずだったのですが、音も聞いてみたくなりプリント基板を設計してケースも準備しそれなりの形にすることにしました。
D級アンプは、ディジタル信号に変換された音声信号をディジタルのまま電力増幅し、増幅されたディジタル信号をもう一度アナログ信号に変換しスピーカを駆動する増幅器です。
本ブログではD級アンプの仕組みをシミュレーションや実験の結果を踏まえて解説し、ステレオシステムに組み込めるアンプとして製作していきたいと思います。
下図はD級アンプの基本構成を示したものです。
【PWM変調】
上図はPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)を前提としていますが、PDM(パルス密度変調:Pulse Density Modulation)を使ったアンプも小出力ではありますが存在します。
PWM変調には他励式と自励式があります。他励式は三角波とアナログ信号を比較してPWM波形を得るものです。参考文献で黒田徹氏が何通りか実験し歪率の改善に限界があることを示されています。一方の自励式は市販されている多くのアンプに採用されており、参考文献の中で歪率を低減できる方式として詳しく解説されています。今回、他励式の実験は飛ばし自励式の実験から始めることとしました。
自励式PWM変調回路の基本部は積分回路とヒステリシスコンパレータから構成されています。どこかで見たことのある回路です。そうです、三角波/矩形波発生回路そのものです。次回はこの回路の実験を取り上げる予定です。
【電力増幅】
出力段は定番のハーフブリッジ回路です。ハーフブリッジ回路の上下の素子それぞれをPWM変調結果の正論理と負論理でオン/オフすることで、PWM変調のデューティに従った交流電力(元の音声信号が電力増幅された結果)を負荷に伝えることができます。
ハーフブリッジ回路をグランド基準で動作させる場合、負荷との間に交流信号を流すためのコンデンサが必要になります。コンデンサの値は非常に大きくなり電解コンデンサを使うことになります。電解コンデンサ挿入による音質劣化を避けるため、ハーフブリッジ回路はプラスマイナスの2電源で動作させるのが一般的です。
プラスマイナスの2電源で動作させると、ハーフブリッジの下側を駆動する回路はマイナス電源基準で動作する必要があり、グランド基準で動作しているPWM変調回路との間をつなげるためレベルシフト回路が必要になります。
【PWM復調】
PWM変調が理想的に行われているならば変調周波数より上の成分をカットすれば入力したアナログ信号だけが残るはずです、従って、カットオフ周波数を変調周波数とアナログ信号の最大周波数との間に持ってきたローパスフィルタを使うことで復調ができます。ローパスフィルタはインダクタとコンデンサを使ったLCフィルタが一般的です。
人間の耳の可聴帯域は20KHz以下ですし、スピーカーシステムの再生可能周波数は50KHz以下なのでアンプの後段がローパスフィルタの役目を果たしているということも言えます。しかし、アンプ筐体外への妨害雑音をできるだけ少なくするという観点から、アンプ内のローパスフィルタによって高周波成分を十分取り除く必要があります。
参考文献:
本田潤[編著]、D級/ディジタル・アンプの設計と製作、CQ出版社 、p.57−79(黒田徹執筆)
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