EL34/6CA7聴き比べ その3
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ
安定感がありまとまった音、これぞ真空管の音という感じがある。先入観があるからか、エレキギターの音が良く聞こえる。
しかし、解像感が今ひとつなくて声や楽器の細かいニュアンスが伝わってこない。空間的な表現も苦手。細かいことは言わず音楽全体の雰囲気を聞いてほしいというタイプ。
【JJ 6CA7】
現行管の中でどれかを選ぶならこれが第一候補となる。エレキギターの音が適当に歪んでいて?妙に楽しくなる。ウンサンのような現代録音も気持ちよく聞ける。
同じメーカなので上記EL34と同じ音色傾向であるが、ちょっだけ解像感が高くHiFiである。しかし、空間的な見通しはよくない(ベタッとしている)。
【松下 6CA7】
解像感の高い音である。シンバルの音が明瞭に聞こえハッとする。また、アップライトピアノがグランドピアノになったようなきらびやかでゴージャスな雰囲気を持っている。ウイリアムス浩子は各楽器のリアリティが高まり表現力が増したように聞こえた。今回試聴に使った音楽ソースであればこの球がベスト。
しかし、硬質な音でそのためか真空管特有の音の暖かみが少ない。音楽全体がスリムになった感じがしてボリューム感はない。少し聴き疲れのする音であるが、通電してエージングが進むとちょうど良い塩梅になるかもしれない。
【Mullard(ロシア) EL34】
最初聞いた時はくすんだ音で、楽器の倍音成分だけが目立って聞こえる変な音だったが、しばらく通電していたら良くなってきた。サックスはけだるい感じがして、この雰囲気が好きな人は多いかもしれない。
しかし、JJより解像感はあるものの歪みっぽさがつきまとい音楽が楽しくない。ボーカルは、少し大げさだが、朝の寝起きで気持ちが入っていない感じである。
【Svetlana(C) EL34】
聞いてすぐわかる明瞭な音である。歪み感なく透明でクリア、楽器の細かいニュアンスまでわかる。でしゃばった音、嫌な音が出てこないので自然な感じである。
分解能は松下より劣る気がするものの、これで必要十分と思わせる音である。
多少高くても今だにこの球を求める人がいる、ということが理解できた気がした。
【まとめ】
JJのEL34以外の球は新品だったため、通電が進むと音が変化していき、昨日聴いた印象と今日聴いた印象が異なるということになってしまった。しかし、何度も聞くうちに音質も安定しそれぞれの個性が分かるようになった。
真空管アンプは低音再生に限界があるのは事実である。いかにうまく聞かすかがポイントだと思う。
JJの2つの球はホースのノズルに例えるとシャワーのような感じで、低音がボワーと広がって量感があるように聞こえるものの締りがない。分解能もよくない。能率の高いスピーカーなら本領を発揮するかもしれない。
松下はホースのノズルを締めたような感じで、量感がなく物足りなく感じるが倍音成分がしっかり出ているのでうまく挽回している。半導体アンプに近い解像感があり、ドラムやベースがリアルに聞こえる。
ロシア球はJJと松下の中間で、ホースのノズルに例えるとストレートという感じで、適度な量感と分解能を持ち好ましい低音処理だと感じた。
本記事に書かれた音の印象は我が家のシステムを使って得られたものです。普遍性のある内容でないことをご承知おき願います。
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