電力増幅段の特性をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ
出力トランスはタンゴのXE−60−5を使う予定ですが、ここではほぼ同一サイズのタムラ製作所F2021でシミュレーションしました。技術評論社から出版されている中林歩著「真空管アンプの「しくみ」と「基本」」のCDに入っているモデルを使用しています。
実際のアンプと同じように、カソードに電流検出抵抗10オームを入れました。この10オームと出力トランスの抵抗分があるためプレートとカソード間の電圧が下がります。そこで,
プレートとカソード間の電圧を400Vにするため、電源電圧V1は404Vとしました。
バイアス電圧V4が−33Vではなく−32.5Vになっていますが、これは10オームにおける電圧ドロップが約0.5Vあるためです。
これら回路条件でフルスイング(グリッドとカソード間の電圧がゼロまでスイング)する場合の入力電圧V2は34.3V(0ーP)となりました。
シミュレーション結果は下図の通りです。過渡解析で最大出力電圧と歪率、AC解析でゲインとカットオフ周波数を求めました。
過度解析の結果
過度解析のログファイル
AC解析の結果
AC解析のログファイル
シミュレーションの結果です。
最大出力 : 16W (8Vrms)
歪率 : 1.9% (THD)
ゲイン : -10.1dB (1KHz)
カットオフ: 136.2Kz (-3dB)
最大出力は合成特性曲線で求めた値の80%となりました。プレート電流とプレート・カソード間の電圧が合成特性曲線と同じ値まで振れていないことと、出力トランスのロスの影響があると考えています。
次にカソードNFをかけた回路をシミュレーションします。下図が回路図になります。
KNF付き回路でフルスイングするために必要な入力電圧は45.4V(0ーP)となりました。
過度解析の結果
過度解析のログファイル
AC解析の結果
AC解析のログファイル
シミュレーションの結果です。
最大出力 : 15.2W (7.8Vrms)
歪率 : 1.4% (THD)
ゲイン : -12.6dB (1KHz)
カットオフ: 167.7Kz (-3dB)
小さくなったゲイン分がNFとして働き、歪率と周波数特性が改善されています。
電源電流は、平均140mA、ピーク180mAでした。
« 第3回MJオーディオフェスティバル |
トップページ
| 電力増幅段の損失をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ »
「シミュレーション」カテゴリの記事
- 電力増幅段用電源の設計
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.20) - 電圧増幅段用電源の設計
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.13) - アンプ全体の特性をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.06) - 電圧増幅段の特性を確認する
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.03.30) - オペアンプLTC6090の特性を確認する
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.03.23)
「EL34回路設計」カテゴリの記事
- 電源回路図
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.05.04) - 全体回路図と電圧増幅段回路図
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.27) - 電力増幅段用電源の設計
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.20) - 電圧増幅段用電源の設計
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.13) - アンプ全体の特性をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ(2018.04.06)
« 第3回MJオーディオフェスティバル |
トップページ
| 電力増幅段の損失をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ »
コメント