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2018/03/30

電圧増幅段の特性を確認する 
  EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ

LTC6090の閉ループ特性をもとにカットオフ周波数を決める方法ではうまくいかないことが分かりました。原因は、LTC6090のスルーレート特性が歪を伴う独特なものである事に加え、ゲインを大きくしたためオペアンプに対する負帰還量が減少し歪を改善させることができなかった事にあります。



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そこで、ゲインを少なめ(NFBを多め)にしてスルーレート特性に起因する歪を改善し、高域に関しては出力端子からマイナス端子の抵抗と並列にキャパシタを入れ帯域を制限するという方法に変更します。


差動増幅の抵抗は 47KΩ-9.1KΩ としました。ゲインは14.3dB(5.2倍)です。20KHz(-1dB)となるように、キャパシタの最適値をLTspiceを用いて探ります。
キャパシタを{Cf}としてパラメトリック解析をします。
同時に .MEAS コマンドを使って−1dBとなる周波数を求めます。



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               シミュレーション回路


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               シミュレーション結果


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               シミュレーションログファイル



82pFの時に所望の特性が得られることがわかりました。


前回問題となった歪率はどうなのか測定してみました。



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左が当初の回路で右が今回の回路です。ゲインを下げた分だけ帰還量が増加し、その増加量に見合うだけ歪率が改善されています。右の特性ならばEL34を低歪でドライブすることができそうです。



電圧増幅段はインスツルメンテーションアンプで構成しています。2段目のゲインが14.3dBですから、1段目には 46.6dB-14.3dB=32.3dB のゲインが必要ということになります。1段目の抵抗値を 2.2KΩ-110Ω-2.2KΩ とし32.3dB(41倍)を得ました。

シミュレーションして確認します。



Photo_6

               シミュレーション回路


Photo_7

               シミュレーション結果


Photo_8

               シミュレーションログファイル



ゲインは0.1dB小さめです。高域の周波数特性は、20.6KHz(-1dB)、40.1KHz(-3dB)です。


実際に回路を組んで測定しました。



Photo_9




下表はその結果をまとめたものです。シミュレーションとほぼ一致しています。ゲインと周波数特性は40Vrmsまで同一で問題ありません。



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