電力増幅段の損失をシミュレーションする
EL34/6CA7 3結 プッシュプルアンプ
回路は前回使ったものと同じです。
.MEASコマンドを使って積分を行なっています。
電力は、瞬時電力の一周期を時間で積分して、周期で割った値です。ここでは、U2のプレート電流とプレート・カソード間電圧の積を9msから10msまでの一周期積分し、周期1msの逆数1000を掛けています。
”control”キーと”L”キーを同時に押しログファイルを表示させます。
シミュレーション値は19.5719Wで、定格の30Wを大きく下回っています。
この手法を用い、アンプ出力0.1Wから20Wまでのプレート損失をシミュレーションしグラフ化したものが下図になります。
黒田達夫氏の著書「現代真空管アンプ25選」に、プレート損失は”最大出力の3割前後の出力で最大となり10%程度は増えます”と書かれていますが、シミュレーションでは増加せずに少しずつ減少していくという結果になりました。シミュレーション結果が実際のアンプ動作と一致しているかはよく分かりません。
今回のシミュレーションは1KHzで行いましたから電流と電圧の位相はほとんど同じでした。周波数が低くなると位相差が出てき瞬時電力の値も異なってきます。それでも積分した電力値は+2W程度なので問題はありません。
次にプレート損失を図示化してみます。まずU2のプレート電流をプロットペインに表示させます。
横軸の目盛の上にマウスポインタを持っていき、表示が定規になったところで右クリックします。下記の画面が出ますから、軸左を9ms、刻みを0.1ms、軸右を10msにして”OK”ボタンを押します。
下図の画面になります。
横軸を時間から電圧に変換します。横軸の目盛の上にマウスポインタを持っていき、表示が定規になったところで右クリックします。下記の画面が出ますから、Plotted Quantityを「V(p)-V(k)」に書き換え”OK”ボタンを押します。
下図のようなプレー損失のカーブ(ロードライン)が得られます。線が2本あるのは波形の立ち上がりと立ち下がりが異なるからです。
全く波形が表示されない場合があります。それは軸の目盛が合っていないからで、各軸を適正な値に修正すればこれと同じ波形が表示されます。
ここにプレート損失の規格値30Wのラインを書き加えます。プロットペインの上で右クリックし、”Add Traces”を選択します。下図の画面が開きますから、30W/(V(p)-V(k)) と書き入れ”OK”ボタンを押します。
下図のグラフが出来上がります。全域で実回路のプレート損失カーブが規格値30Wのカーブの下にあります。あまり意味はないかもしれませんが、瞬時電力もプレート損失の規格値をオーバーしていないということを示しています。
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