LTspice入門
パラメトリック解析(.STEP)
電圧値や素子の値を変化させてシミュレーションする際、値を変えてシミュレーションするを何度も繰り返すことになります。これは面倒ですね。そんな時に.STEPコマンドを使うと一回で済ませることができます。
下図は.STEPコマンドの説明です。.MEASコマンドほど難しくはありません。
OPA604の反転増幅器を題材にして、実際に.MEASコマンドを使ってみましょう。
反転増幅器のゲイン位相特性が増幅度を変えるとどのように変化して行くかをシミュレーションします。周波数は1Hzから10MHzまでです。下図はシミュレーション回路になります。
ゲインを変えるため、出力からマイナス端子に帰還する抵抗値を操作することにします。抵抗の変数名は任意で良いので、ここでは”Rf”としました。変数名は”{”と”}”で囲みます。このカッコのことをLTspiceではカーリー・ブランケットと呼ぶそうです。
抵抗Rfを、100Ωから100MΩまで10倍単位で変更することにします。
コマンドはスパイス・ディレクティブを使って設定します。ツールバーの右端の”.op”ボタンを押すかキーボードの”s”を押すと下図のEdit Text on the Schematicウインドウが開くので、ここにコマンドを書込みます。
下図はコマンドを書き入れたところです。
シミュレーションしたい抵抗値を全て列挙しています。
.STEPコマンドには、.MEASコマンドと同じように、入力作業をサポートしてくれるGUIが用意されています。Edit Text on the Schematicウインドウで”.STEP”と入力して回路図の上の置きます。配置された”.STEP”の上にマウスポインターを持っていき右クリックすると下図のような画面が開きます。この中で項目を選択、必要事項を入力していきます。
ツール・バーの”Run”をクリックするとシミュレーションがスタートします。下図は回路図上でオペアンプの出力端子をクリックし7本のゲイン位相特性を表示したものです。外部抵抗でゲイン設定できるのは60dBぐらいまでということがわかります。
ここまでは.STEPコマンドの中に全ての抵抗値を書き並べる方法でした。下図に別の書き方を紹介します。対数表現になっています。
下図は入力をサポートするGUIの画面です。
上記のシミュレーションでは、.MEASコマンドを使って1KHzのゲインと高域の-3dB周波数を求めてます。.STEPコマンドとを組合せるとログファイルは下図のように表示されます。
「真空管モデルを使ってDC解析」でEL34Tのプレート特性を描きました。電源の設定でV1とV2の両方を動かす設定にしましたが、ここではV2を.STEPコマンドを使って動かしてみます。
下図がシミュレーション回路になります。V2を{Rf}と変更しています。
下図はコマンドを書き入れたところです。Vfを0Vから-35Vまで刻み値−5Vで変化させます。
下図は入力をサポートするGUIの画面です。
先のブログ記事と同じ結果が得られました。
参考文献:
渋谷道雄、回路シミュレータLTspiceで学ぶ電子回路、オーム社 、p.207−210
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