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2018/02/06

LTspice入門 
出力トランスモデルをライブラリに組込む

出力トランスモデルをLTspiceに組込む方法を紹介します。

LTspiceにはトランスのシンボルは用意されていませんのでオリジナルシンボルを作成することにします。下図は自作のシンボルです。




Photo

技術評論社から出版されている中林歩著「真空管アンプの「しくみ」と「基本」」に添付されているCDを使わせていただきます。

下図はタムラ製作所のF2021のモデルを一部抜き出したものです。5行目にモデル名と端子名が宣言されています。一次側にはSG端子があり、UL接続のシミュレーションができそうです。二次側には4Ωと16Ω端子がありますから、カソードNFのシミュレーションができると思います。


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C:¥Users¥ユーザー名¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥subの中に作った自分専用フォルダMyModelに格納します。



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次はシンボルの作成です。まず、LTspiceXVIIを立ち上げメニューバーの File から New Symbol を選択します。




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シンボルエディタが開きます。


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図面の上で右クリックし、ポップアップした画面で Draw から Line を選択します。




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回路図の配線を行うのと同じ要領で直線を引いていきます。グリッドとグリッドの間は16分割されているそうですが、細かなグリッドが表示されないので使いこなすのは難しそうです。グリッド単位あるいはグリッドの1/2単位で線をつないでいくのがよいと思います。




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線種の選択についてです。図面の上で右クリックしポップアップした画面で Draw から Line Style を選択するか、引いた線の上で右クリックすると下図の画面が開きます。ここで目的の線種を選ぶことができます。




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図面の上で右クリックしポップアップした画面で Draw から Rect を選択すると四角形を描くことができます。




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トランスのシンボルが描けました。


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次にピンの設定を行います。図面の上で右クリックしポップアップした画面で Draw から  Add Pin を選択します。



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下記の画面で1ピンずつ設定していきます。


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右上の Netlist Order欄はピン番号です。モデルファイルに書かれている端子順に1、2、3....となります。一つピンを設定するごとに(OKボタンを押すごとに)自動的にインクリメントしていきます。

因みに、中林氏のモデルでは以下のようになっています。

1番ピン : プレート1 として使う
(”P1”と表記)
2番ピン : スクリーングリッド1 として使う
(”SG1”と表記)
3番ピン : B電源端子 として使う
(”B”と表記)
4番ピン : スクリーングリッド2 として使う
(”SG2”と表記)
5番ピン : プレート2 として使う
(”P2”と表記)
6番ピン : 16オーム端子 として使う
(”S16”と表記)
7番ピン : 4オーム端子 として使う
(”S4”と表記)
8番ピン : コモン端子 として使う
(”S0”と表記)

ピンの名前は左上の Label欄に入力します。分かりやすい名前ということで、モデルファイルと同じにしました。

Pin Label Justification欄で名前の位置を上下左右から選択します。

ピン設定が終わりました。




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ピンの名前と番号が正しいか確認します。図面の上で右クリックしポップアップした画面で View から Pin Table を選択します。




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下記の画面が開きますから入力に間違いがないか確認します。


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次は属性を入力します。シンボルの上で右クリックし、ポップアップした画面で Attributes から Edit Attributes を選択します。




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下記の画面が開きます。


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Prefix欄に”X”、Value欄に”F2021ULKF”と書き入れます。

SpiceModel欄には”モデルファイルに記述されているモデル名”を記入するのが基本のようです(今回の記事では、上から2番目の図で5行目の.SUBCKT の後に記載してある ”F2021ULKF” です)。ここでは空欄としていますが、エラーが出るようでしたら記載してください。

次に、Description欄に素子の特徴を書き込みます。ここでは”Tamura factory wide band output transformer for push pull”と入れました。

ModelFile欄にF2021ULKFモデルファイルの保存場所を書きこみます。

Windowa環境の場合は、

C:¥Users¥ユーザー名¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥sub¥MyModel¥F2021ULKF.lib

と書きます。

MAC/Parallel環境では以下のようになります。

¥¥Mac¥Home¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥sub¥MyModel¥F2021ULKF.lib

必要項目を入力したならば、上図で”OK”ボタンを押します。


次ですが、シンボルを回路図に配置した時に部品番号が表示されるようにします。シンボルエディター図面の上で右クリックしポップアップした画面で Attributes ら Attribute Window を選択します。



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InstName を選択しOKボタンを押します。



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シンボルエディタ画面で”Unnn”という文字が自由に動く状態で表示されます。適当な場所を選び左クリックで固定します。


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Symbol Attribute Editor のPrefix欄を”X”と記入すると、接頭語は”U”になるようです。 マクロモデル(構文が.SUBCKT で始まるもの)のPrefix欄は”X”と決まっているようなので、接頭語を自由に選ぶことができない仕組みです。

次はシンボルに部品名を付けます。部品番号の時と同じように、シンボルエディター図面の上で右クリックし、ポップアップした画面で Attributes ら Attribute Window を選択します。表示された画面から Value を選択しOKボタンを押します。




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シンボルエディタ画面で”F2021ULKF”という文字が自由に動く状態で表示されますから、適当な場所を選び左クリックで固定します。


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トランスのシンボルが完成しました。「Save As」で作成したシンボルファイルを保存します。


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Windowa環境は

C:¥Users¥ユーザー名¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥sym¥MyDevice¥F2021ULKF.asy

MAC/Parallel環境は

¥¥Mac¥Home¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥sym¥MyDevice¥F2021ULKF.asy

とします。


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F2021ULKFがちゃんと組み込まれているか確認します。LTspiceXVIIを立ち上げ新しい回路図を開きます。次にツール・バーの”Component”ボタンを押しSelect Component Symbolの画面で[MyDevice]をダブルクリックします。



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下記の画面でF2021ULKFが確認できます。



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F2021ULKFを選択して”OK”ボタンを押し、回路図に配置します。



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