LTspice入門
オペアンプモデルを使ってAC解析(.AC)
OPA604のオープンループ特性をAC解析を使ってシミュレーションしてみます。AC解析の結果は、横軸が周波数、縦軸がゲインと位相で表されます。
まず、OPA604がちゃんと組み込まれているか確認しましょう。LTspiceXVIIを立ち上げ新しい回路図を開きます。次にツール・バーの”Component”ボタンを押します。前回ブログでsymフォルダに作成したMyDeviceフォルダが表示されています。
[MyDevice]をダブルクリックすると下記の画面が開き、OPA604が確認できます。
OPA604を選択して”OK”ボタンを押し、回路図に配置します。そのほかの部品(電源や発振器、グランド)を配置し配線します。
次に発振器V3の設定を行います。シンボルの上で右クリックして”Advanced”ボタンを押し下図の画面を表示させます。左側は(none)を選択しておき、右側のSmall signal AC analysis(AC)の欄に入力していきます。
AC Amplitudeに”1”、AC Phaseに”0”と書き入れます。
次にシミュレーション条件を設定します。メニュー・バーからSimulateをクリックした後Edit Simulation Cmdを選択します。下の画面が表示されます。”AC Analysis”ペインを選びます。
Type of sweepは4つの中から選べます。Decade(対数目盛を10倍ごとに設定)を使います。
Number of points per decadeは一つの対数目盛を何ポイントで計算するかで、50から100の値を入れるようです。
Start frequencyは開始周波数、Stop frequencyは終了周波数です。
シミュレーション条件はスパイス・ディレクティブを使って設定することもできます。ツールバーの右端の”.op”ボタンをクリックするかキーボードの”s”を押します。
すると下図のEdit Text on the Schematicウインドウが開くので、ここに必要なコマンドを書込みます。Mac版のLTspiceはこのスタイルです。
回路図入力が終わりました。オペアンプの電源電圧は±15Vとしました。
下図はシミュレーション結果です。
データシートのグラフと比較したいので縦軸の目盛を合わせます。ゲイン目盛のところにマウスポインタを持っていくとポインタが定規の形に変化します。
上記状態で右クリックすると下図となりますから、Top,Tick,Bottomの値を変更します。
位相も同じように変更します。
シミュレーション結果とデータシートのグラフを並べました。
2つは少し違うようですね。これは、シミュレーションモデルは素子の全てを記述したものではないからです。モデル作成者はシミュレーションしたい(または一般にシミュレーションするであろう)内容に沿ってモデルに盛り込む特性項目を選んでいるのです。ですから、モデル作成者が意図しない内容でシミュレーションされた場合、希望する結果が得られないということになります。
我々はシミュレーション結果を妄信せず、データシートや自分の知識を総動員して結果を吟味する必要があります。
ただ、今回使ったOPA604のモデルはメーカ提供なので、もう少し素子の特性を忠実に再現できるような工夫が欲しい気がします。
« LTspice入門
オペアンプモデルをライブラリに組込む |
トップページ
| LTspice入門
真空管モデルをライブラリに組込む »
「LTspice入門」カテゴリの記事
- LTspice入門
パラメトリック解析(.STEP)(2018.02.16) - LTspice入門
波形の値を読み取る(.MEAS)(2018.02.13) - LTspice入門
歪率とFFT解析(.FOUR)(2018.02.09) - LTspice入門
出力トランスモデルをライブラリに組込む(2018.02.06) - LTspice入門
真空管モデルを使ってDC解析(.DC)(2018.02.02)
« LTspice入門
オペアンプモデルをライブラリに組込む |
トップページ
| LTspice入門
真空管モデルをライブラリに組込む »
コメント