インピーダンス測定
測定回路の製作(1)
安定化電源の設計では、出力コンデンサの直流抵抗が系の安定性にとって重要なファクターであることが分かりました。直流抵抗は技術雑誌に載っている値を参考にすれば事足りることがほとんですが、自分の選択した部品の特性がどうなっているのか分からないのは少し不安になります。また、”部品の特性と音質との関係”がどうなのかということも気になります。
一般的に、受動部品の特性を測定するにはインピーダンス測定器を用います。インピーダンスとは、抵抗とキャパシタンス、インダクタンスの各成分が複素平面上で形成するベクトル量です。従って、インピーダンスは周波数によって変化する値となります。
電気系の学生はブリッジでインピーダンス測定する実験を必ずやるはずです。でも、今の学生は手を動かし感覚を研ぎ澄ませて電気と向き合うなんてことはやらないのかもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、アナログディスカバリーを用いたインピーダンス測定器を製作しましたので紹介したいと思います。
アナログディスカバリーと組み合わせて行うインピーダンス測定はI-V法と呼ばれているものです。原理は下記の通りです。
測定は群馬大学が主催している”アナログナレッジ人材育成”のホームページを参考にしました。
アナログお役立ち実験室というページの下に”インピーダンスの計測”があります。
設計した測定回路は下記の通りです。
原理図にはない電流制限抵抗が入っています。DUTのインピーダンスによって33Ωから330Ωを選択できるようにしました。より小さなインピーダンスを測定するときには、電流制限抵抗の値をもっと小さくしたくなります。しかし、アナログディスカバリの発振器に用いられているオペアンプ(AD8067)の出力電流は30mAに制限されているため、発振器を壊さないよう電流制限が必要です。
1Ω両端の電圧をグランド基準に変換するためにゲイン10倍(20dB)のインスツルメンテーションアンプを使用します。DUT側はグランドに接続されていますが、1Ω側と特性を合わせるために同様のインスツルメンテーションアンプを接続します。
10MHzまでフラットな特性が欲しいので帯域幅の広いオペアンプを探したところ、秋月で電流帰還型のALHM6702が2個300円で販売されているのを見つけました。ALHM6702の帯域幅は720MHz(出力2Vpp、ゲイン2倍)で、真空管アンプから見るととんでもない特性を持っています。
電流帰還型オペアンプは帰還抵抗(出力端子とマイナス端子間に接続する抵抗)の値がデータシートで指定されています。この値を守ればゲインが変わっても周波数帯域幅が変動しないという特徴を有しています。ALHM6702の帰還抵抗は237Ωと指定されています。
下記は使用部品の写真です。半固定抵抗は多回転のものを使っています。
下記は組み立て中の測定基板です。ALHM6702は秋月で購入したDip8ピン変換基板の上に実装しました。
下記写真は測定基板をデバッグしているところです。
電源を入れてオシロスコープで波形を観測しようとしたところ、画面がジャミジャミ(北陸の方言です)で発振しているとすぐに分かりました。あれこれイジっていたのですが全く解決しません。何か参考になることがないか調べていたところ、私と同じトラブルを経験された方をトランジスタ技術で見つけました。
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