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2017年7月

2017/07/28

電源入門 
 参考書

電源関係の書籍を紹介したいと思います。3冊ともCQ出版社です。


(1)電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計
                              遠坂 俊昭 (著)

理論だけしか書かれていない教科書風の書籍が多い中で、この本は安定に動作するものを作るという思想が貫かれています。設計➡︎シミュレーション➡製作➡測定という各ステップが丁寧に解説されています。



               

第1章 電源回路の概要
第2章 SIMetrix/SIMPLISの使い方
第3章 電源回路に使用される基本素子の特性と動作
第4章 負帰還を理解するための基礎知識
第5章 負帰還の動作と設計
第6章 リニア電源の設計
第7章 リニア・レギュレータの応用設計…Dual CVCC実験用電源
第8章 スイッチング電源の動作
第9章 Buckコンバータの設計・製作・評価
第10章 積層セラミック・コンデンサを使用したBuckコンバータの設計・製作・評価
第11章 電圧モードBoostコンバータの設計・製作・評価
第12章 電流モードBoostコンバータの設計・製作・評価



(2)作りながら学ぶエレクトロニクス測定器
                             本多 平八郎 (著)

名著です。この本の内容を完全に理解したならばプロのエレクトロニクスエンジニアとして通用します。全ての測定器をソフトウエアに頼らずハードだけで実現しているところが立派です。

               

第1章  電子回路の製作テクニック
第2章  パルス&パターン・ジェネレータの設計と製作
第3章  直流電子負荷の設計と製作
第4章  低雑音電源装置の設計と製作
第5章  交流標準信号発生器の設計と製作
第6章  ユニバーサル・アンプの設計と製作
第7章  低雑音ヘッド・アンプの設計と製作
第8章  高入力インピーダンス・ヘッド・アンプの設計と製作
第9章  交流電流検出用ヘッド・アンプの設計と製作
第10章 直流電流検出用ヘッド・アンプの設計と製作
第11章 交流/直流ディジタル電圧計の設計と製作
第12章 ひずみ率計の設計と製作
第13章  CR正弦波発振器の設計と製作
第14章  簡易型低雑音電源の設計と製作
第15章  クロック・シンセサイザの設計と製作



(3)実用電源回路設計ハンドブック
                             戸川 治朗 (著)

説明に使われている素子に古さを感じますが、基本は今も昔も変わりません。



               

第1部 ドロッパ型レギュレータの設計法

第1章 整流回路の設計法
第2章 もっとも簡単な安定化電源
第3章 3端子レギュレータの応用設計法
第4章 シリーズ・レギュレータの本格設計法
第5章 シリーズ・レギュレータ設計ノウハウ

第2部 スイッチング・レギュレータの設計法

第1章 スイッチング・レギュレータのあらまし
第2章 チョッパ方式レギュレータの設計法
第3章 RCC方式レギュレータの設計法
第4章 フォワード・コンバータの設計法
第5章 多石式コンバータの設計法
第6章 DC-DCコンバータの設計法
第7章 無停電電源の設計法
第8章 高圧電源の設計法
第9章 雑音を小さくするさまざまな工夫

2017/07/21

真空管アンプ電源
 +460V電源 実験その2

過渡応答波形を確認しました。
下図は、再掲載ですが過渡応答測定治具の回路です。
115mAの矩形電流を負荷として加えています。



B1



下の写真は過渡応答波形です。



B2



波形の立ち上がり直後から約500KHzの細かな振動が観測されました。
これは発振しているのではないかとちょっと慌てましたが、±78V電源で経験したLC共振と現象が似ていることに気づきました。


この現象の原因は何か少し考えてみました。
+460V電源は、オペアンプのマイナス端子側がグランドに接続されていて、プラス端子側はグランドではなく出力電圧側を基準とした電圧に接続されています。過渡的な電流変化によって出力に生じたノイズ成分は抵抗で分圧されてオペアンプのプラス端子に加わり、それが増幅され今回の現象になったのではないかと推測しました。


これを確認するため、下図に示す位置にノイズバイパス用のコンデンサを入れてみました。



B3



330pFを入れた時の過渡応答波形が下の写真になります。



B4



細かな振動は無くなっています。


コンデンサを挿入することで電源のクローズループゲインがどうなるかシミュレーションしてみました。下図がシミュレーション回路になります。



B5



コンデンサの値を1nF、100pF、330pFと変化させてシミュレーションした結果が下図になります。



B6



ゲインが0dBになる周波数と位相余裕は以下の通りです。

  1nF  : 28.6KHz  85.9deg
100pF : 27.7KHz  71.5deg
330pF : 23.4KHz  49.5deg

330pFを入れると過渡応答の波形は綺麗になるものの、電源全体の位相余裕は大きく減少することがわかります。この場所にコンデンサを入れるのは適当でないようです。




ロードレギュレーションですが、電流値は45KΩ負荷と45kΩ//4kΩ負荷の二通りで確認しました。


45kΩ(10.2mA)
      電源基板出力  460.035V
      治具入力        460.035V

45KΩ//4KΩ(125.2mA)
      電源基板出力  460.033V
      治具入力        460.026V


治具までの抵抗分は±78V電源で測定した時と同じで75mΩでした。電源本体は、115mAの電流変化で2mV電圧が低下しています。電圧が低下しているのは事実ですが、マルチメータの精度を考えると電源の出力インピーダンスはこうだと言える数字ではありません。






参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.158−173
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90



2017/07/14

真空管アンプ電源
 +460V電源 実験

回路をユニバーサル基板に組み動作を確認します。事前に配線図を書きました。



A1



下の写真は、トレイに並べた使用部品です。



A2



組み上がりました。



A3



±15V基板とドッキングして実験しています。



A4



以下にデジタルオシロで観測した波形を載せます。



A5
左:タイマー回路の波形
  TimerA(上)とTimerB(下)
                       右:起動時のFETサージ電流波形
                         TimerB(上)とFETドレイン電圧=ドレイン電流(下)



TimerA、TimerBとも設計値より1〜2割長くなりました。タンタルコンデンサのばらつきが主な原因と思われます。555を使った長時間タイマーに精度を求めるのは難しいと感じました。

起動時にFETを流れるサージ電流ですが、対策をとった事で2.4A程度まで抑える事ができました。定電流動作が始まるまでの時間もシミュレーションの結果と一致しています。



A6
左:出力電圧立ち上がり波形(負荷4kΩ//45KΩ)
  TimerB(上)と出力電圧(下)
                         右:過電流検出時のラッチ回路波形
                           フォトカプラコレクタ(上)とオペアンプ出力(下)



出力の電圧立ち上がり時間は約1.1秒となりました。

フォトカプラのコレクタがローレベルになってからラッチまで4.2mSとなっています。シミュレーションで得られた3.9mSより若干長めとなりました。






参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.158−173
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90

2017/07/07

真空管アンプ電源
 +460V電源 設計とシミュレーション6

これまでの内容をまとめます。




Photo
          全体回路図



Photo_2
     定電圧制御部と定電流制御部



Photo_3
          タイマー回路



Photo_4
          ラッチ回路



Photo_5
          LED点灯回路


LEDには2色タイプを使用します。TimerAとTimerBの動作時間は赤と緑の両方が点灯しオレンジ色になります。正常動作時は緑のみ点灯します。過電流が流れシャットダウンした時は赤になります。






参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.158−173
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90




2017/07/04

CS Port 試聴会
 金沢市間明町 アンティフォン

7月1日の土曜日、友人とCSPortの試聴会に行ってきました。

CSPortは、電源メーカコーセルの社長をされていた町野さんが富山で立ち上げたオーディオメーカーです。CSはClear Soundの略です。

試聴会は金沢市の西インター近く間明町のオーディオショップアンティフォンで開かれました。



Photo



試聴システムは下記の通りでした。
 プレイヤー   : CSPort LFT1
 カートリッジ   : MC型(製品名は聞き逃しました)
 イコライザー  : CSPort C3EQ
 プリアンプ    : AIR TIGHT ATC-1
 パワーアンプ : CSPort 212PA
 スピーカ     : Wilson-Audio System6

試聴室は12畳程度の洋間でした。



Photo_2



パワーアンプは三極管212Eが前面にドーンと配置されていて、これまでの真空管アンプにはなかった斬新な意匠となっています。入力トランス+C3g+212Eのシンプルな回路ですが、使用部品の一点一点にまで町野社長の経験が生かされていて、真似して作っても同じ音質は得られないと思います。



Photo_3


アナログプレイヤーですが、これもパワーアンプ同様、モータやフラッタ、アーム、スタビライザまで音をよくするため様々な工夫がされています。町野社長は、構造や材料を変更していくとレコードにこんな音が入っていたのかと驚かされ、その度に持っているレコードを聴き直すことになる。それがアナログの醍醐味でもある、という話をされていました。



Photo_4



イコライザアンプはバッテリ駆動が基本ですが、充電しながらのAC駆動も可能です。バッテリ駆動の時には黄色のランプが点灯し(上の写真)、AC駆動の時は緑色のランプも点灯します(下の写真)。電源駆動の違いを聞き比べたのですが、AC駆動に対しバッテリ駆動の方がSNのよい滑らかな音で、これは聞いていた方のほとんどが言っていました。



Photo_5



一緒に行った友人(以前紹介したLINN使いです)は、真空管アンプの音とは思えないクリアでのびのびしたよい音だったと言っていました。私も同様で、シングルアンプのスカッとした音質を持ちつつ大型スピーカを鳴らしきるパワーを得ていて、解像度やSNも申し分のない素晴らしい製品群だと思いました。高級品の中にはカタログを飾るためだけに特殊なパーツを使っていることもあるようですが、CSPortの製品は全てが町野社長の経験に基づく設計であり部品選定なので納得度がとても高いです。


会場でカタログと一緒にCSPortのロゴがラベリングされたミネラルウオーターをいただきました。



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