真空管アンプ電源
+460V電源 実験その2
過渡応答波形を確認しました。
下図は、再掲載ですが過渡応答測定治具の回路です。
115mAの矩形電流を負荷として加えています。
下の写真は過渡応答波形です。
波形の立ち上がり直後から約500KHzの細かな振動が観測されました。
これは発振しているのではないかとちょっと慌てましたが、±78V電源で経験したLC共振と現象が似ていることに気づきました。
この現象の原因は何か少し考えてみました。
+460V電源は、オペアンプのマイナス端子側がグランドに接続されていて、プラス端子側はグランドではなく出力電圧側を基準とした電圧に接続されています。過渡的な電流変化によって出力に生じたノイズ成分は抵抗で分圧されてオペアンプのプラス端子に加わり、それが増幅され今回の現象になったのではないかと推測しました。
これを確認するため、下図に示す位置にノイズバイパス用のコンデンサを入れてみました。
330pFを入れた時の過渡応答波形が下の写真になります。
細かな振動は無くなっています。
コンデンサを挿入することで電源のクローズループゲインがどうなるかシミュレーションしてみました。下図がシミュレーション回路になります。
コンデンサの値を1nF、100pF、330pFと変化させてシミュレーションした結果が下図になります。
ゲインが0dBになる周波数と位相余裕は以下の通りです。
1nF : 28.6KHz 85.9deg
100pF : 27.7KHz 71.5deg
330pF : 23.4KHz 49.5deg
330pFを入れると過渡応答の波形は綺麗になるものの、電源全体の位相余裕は大きく減少することがわかります。この場所にコンデンサを入れるのは適当でないようです。
ロードレギュレーションですが、電流値は45KΩ負荷と45kΩ//4kΩ負荷の二通りで確認しました。
45kΩ(10.2mA)
電源基板出力 460.035V
治具入力 460.035V
45KΩ//4KΩ(125.2mA)
電源基板出力 460.033V
治具入力 460.026V
治具までの抵抗分は±78V電源で測定した時と同じで75mΩでした。電源本体は、115mAの電流変化で2mV電圧が低下しています。電圧が低下しているのは事実ですが、マルチメータの精度を考えると電源の出力インピーダンスはこうだと言える数字ではありません。
参考文献:
遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.158−173
本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90
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