真空管アンプ電源
±15V電源 設計
今回は±15V電源の設計です。
±78V電源のときはバイポーラトランジスタを使いましたが、ここではMOS FETを使用してい
ます。両者の差は下図の通りです。
ETを使うときに問題となるのは、VinとVoutの電圧差です。バイポーラトランジスタではVbeの値は0.6V〜0.7Vでほぼ一定ですが、MOSFETのVgsは製造プロセスで異なります。その値は2V〜5Vと、バイポーラ素子に比べて大きくなってしまいます。従って、MOSFETを用いた安定化電源は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの差が大きな場合に限り採用できるということになります。
今回の±15V電源の場合、±78Vと同じ整流回路を使用したためVinが80V以上あるので問題なく使えます。
下図は製作した±78V電源の回路図になります。設計出力電流は100mAです。
まずソースフォロアの出力抵抗Roを求めます。Roは伝達コンダクタンスgmの逆数になります。
下図は、NチャネルのFQPF10N20とPチャネルのFQPF5P20のゲートソース間電圧対ドレイン電流のグラフです。
グラフの傾きがgmになりますが、線形性を持っているとは言えません。ドレイン電流が大きくなるとgmの値も大きくなります。このグラフから100mA〜200mAの領域を読み取ります。
FQPF10N20のgmは1.25、FQPF5P20のgmは0.5と読み取りました。よって、ソースフォロアの出力抵抗Roは、プラス側0.80Ω、マイナス側2Ωと計算されます。
過電流検出抵抗R3は2.2Ωです。
出力コンデンサ25V470μFの等価直列抵抗Rc1を0.2Ωとしています。
これらの条件から、プラス側fA=106Hz、fB=1690Hz、マイナス側fA=77Hz、fB=1690Hzが求まります。
fCは参考文献に従い30KHzとします。
この後、比較増幅部の抵抗とコンデンサの値を求めていきます。
上記回路では、プラス側C1=129pF、マイナス側C2=42,8pFと計算されました。
入手性を考慮し、プラス側150pF、マイナス側47pFを使用することとします。
参考文献:
遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.86−157
本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90
« 真空管アンプ電源
±78V電源 実験その2 |
トップページ
| 第2回北陸オーディオショウ »
「±15V電源」カテゴリの記事
- 真空管アンプ電源
±15V電源 実験結果(2017.05.19) - 真空管アンプ電源
±15V電源 シミュレーション(2017.05.12) - 真空管アンプ電源
±15V電源 設計(2017.05.05)
コメント