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2017/05/05

真空管アンプ電源
 ±15V電源 設計

今回は±15V電源の設計です。

±78V電源のときはバイポーラトランジスタを使いましたが、ここではMOS FETを使用してい
ます。両者の差は下図の通りです。



15v



ETを使うときに問題となるのは、VinとVoutの電圧差です。バイポーラトランジスタではVbeの値は0.6V〜0.7Vでほぼ一定ですが、MOSFETのVgsは製造プロセスで異なります。その値は2V〜5Vと、バイポーラ素子に比べて大きくなってしまいます。従って、MOSFETを用いた安定化電源は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの差が大きな場合に限り採用できるということになります。

今回の±15V電源の場合、±78Vと同じ整流回路を使用したためVinが80V以上あるので問題なく使えます。



下図は製作した±78V電源の回路図になります。設計出力電流は100mAです。



15v_2



まずソースフォロアの出力抵抗Roを求めます。Roは伝達コンダクタンスgmの逆数になります。


下図は、NチャネルのFQPF10N20とPチャネルのFQPF5P20のゲートソース間電圧対ドレイン電流のグラフです。



15v_3
FQPF10N20(左)FQPF5P20(右)



グラフの傾きがgmになりますが、線形性を持っているとは言えません。ドレイン電流が大きくなるとgmの値も大きくなります。このグラフから100mA〜200mAの領域を読み取ります。
FQPF10N20のgmは1.25、FQPF5P20のgmは0.5と読み取りました。よって、ソースフォロアの出力抵抗Roは、プラス側0.80Ω、マイナス側2Ωと計算されます。


過電流検出抵抗R3は2.2Ωです。

出力コンデンサ25V470μFの等価直列抵抗Rc1を0.2Ωとしています。


これらの条件から、プラス側fA=106Hz、fB=1690Hz、マイナス側fA=77Hz、fB=1690Hzが求まります。
fCは参考文献に従い30KHzとします。


この後、比較増幅部の抵抗とコンデンサの値を求めていきます。
上記回路では、プラス側C1=129pF、マイナス側C2=42,8pFと計算されました。
入手性を考慮し、プラス側150pF、マイナス側47pFを使用することとします。







参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.86−157
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90





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