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2016年10月

2016/10/28

KT88pp Version2 設計と実験(2)

(Ⅱ)電力増幅段の実験

カソード帰還の効果を確かめるためアンプを改造しました。


Photo



B電源を+55Vでバイアスしていたのですが、カソード抵抗が出力トランスの2次側(=スピーカー)と接続されるためバイアスはなしになりました。そのためアンプ基板内でバイアス調整ができなくなり、バイアス回路は外付けとなりました。そして、電圧増幅段と電力増幅段との間にカップリングコンデンサが入ることに...。直結にこだわっていたので少し残念です。

周波数特性を測定した結果が下図になります。



122vrms4ohmno_knfb
NFなし


122vrms4ohmknfb
KNFあり



KNFなしの時は、ゲイン34.1dB/1KHz、カットオフ周波数119KHz/−3dBでした。KNFをかけると、ゲイン30.8dB/1KHz、カットオフ周波数156KHz/−3dBになります。NFB量は3.3dBと計算できます。カットオフ周波数は目標の200KHzには届きませんでしたがかなり伸ばすことができました。

歪率測定も行いました。


12thdno_nfb
NFなし


12thdknfb
KNFあり


100Hzと1KHzは若干改善されますが、10KHzは逆に悪くなってしまいました。原因はよくわかりません。歪率はバラックではなくちゃんと組み上げて測定するべきと感じました。



2016/10/25

KT88pp Version2 設計と実験

(Ⅰ)電力増幅段の設計

今回のアンプは電力増幅段にカソード帰還を採用します。カソード帰還(KNF)は、出力トランスの2次側の信号を出力管のカソードに重ねることで負帰還をかけるというものです。下図は原理図です。


Nf


出力管V1のカソードが0Ω端子に、V2のカソードが16Ω端子に接続されています。そして、0Ω端子と16Ω端子との巻線構造上の中点である4Ω端子がグランドに接続されます。ということは、カソード帰還を行わないときと同じアンプ出力を得るには、出力管のグリッド電圧Vinは4Ω出力端子の電圧Vout分大きな振幅が必要になるということです。


NFB量は、カソード帰還ありとなしのグリッド入力電圧の比で計算できます。
    20Log {(Vout+Vin)/Vin}
           Vout : 4オーム端子の出力電圧
           Vin  : Voutを得るのに必要なカソード帰還なしのグリッド電圧


前回製作時に測定した結果から、アンプ入力126.4mVの時に4Ωアンプ出力6453mV(10.4W)が得られています。電圧増幅段のゲインは126倍ですから、出力管のグリッドには126.4mVX126倍=15926.4mVが入力されていることになります。これらの数字からNFB量を計算します。

    20Log {(6453+15926.4)/15926.4} = 2.95dB

KT88はそれほど効率の良い球ではありませんから妥当な数字と見るべきでしょう。



カソードNFに出力トランスの2次側巻線を使うと、若干ですがスピーカーにカソード電流が流れます。ちょっと気持ち悪いですね。
タムラやタンゴにはカソードNF用の独立巻線が用意されている製品があります。今回使用するトランスではありませんが、下の写真はタンゴのXE−60−5です。CF1、CT、CF2が専用巻線で、カソードNFだけでなくオーバーオールのNFをかける時にも使用できます。



Photo






2016/10/21

KT88pp Version2 はじめに

今週からブログの名称が変更になっています。「Mobius電気電子工房」から、より地域密着型の?「金沢電気電子工房」という名称にしました。今後ともよろしくお願い致します。



ブログで紹介してきたKT88アンプですが、音楽鑑賞に耐えられるような音質ではありませんでした。出番がなくて、部屋の隅で肩身の狭い思いをしています。このまま終わったのではあまりに悔しいので、我が家の常用アンプになることを目指し一から見直しました。


Kt88_02




前回の反省から、スタガ比の取り方を180度変更します。すなわち、「電力増幅段の周波数特性が最も悪く初段の周波数特性が最もよい」から「電力増幅段の周波数特性が最もよく初段の周波数特性が最も悪い」への変更です。これには、NFBを安定にかけるためにアンプ各段の周波数性を欲張らない、という意味合いもあります。


Kt88_03




電力増幅段の周波数特性が最もよいということですから、カソードNFを採用して少しでも特性を上の方へ伸ばしたいと思います。目標は200KHz/−3dBですが難しいかもしれません。実験で確かめることにします。


電圧増幅段ですが、目標は電力増幅段より一桁下の20KHz/−3dBです。可聴帯域内でオーバオールのNFBが均等にかかるようにすることが必要で、できれば20KHz/−1dBにしたいのですが難しいかもしれません。


さらに、2段になっている回路構成を1段にならないかということも検討します。1段ですめば、NFBの安定度がよります方向に行くと思います。




2016/10/08

第30回 富山クラフトオーディオクラブ試聴会

山県富山市の水橋ふるさと会館で、第30回の富山クラフトオーディオクラブ試聴会が開催されました。あいにくの雨降りで、金沢から会場まで30分余計にかかってしまい試聴会冒頭の会長挨拶は聞けませんでした。



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今回の試聴会からスピーカシステムが変更になりました。事務局長伊東氏の作品です。ご自宅で聞かせていただいたとがありますが、ボーカルが空間に浮き上がって聞こえるステキなスピーカシステムです。



Photo_2

 低域:ALTEC 825 & ALTEC 515
 中域:JBL 2441 & TAD TH−4001
 高域:PIONEER ET−703
徹底した補強が行われていて、箱の重さは倍になっているそうです。




休憩時間のホール客席です。シートはしっかりしていますが、通路は人が通るとミシミシいって仮設っぽいです。

Photo_4




発表されたアンプは
 BF25シングル
 300Bシングル
 6CK4プッシュ
 DA30シングル
の4台でした。

最も興味深かったのは、ネットワークプレーヤーの発表でした。CPUボードはBeagle Bone Greenで、DACはTDA1545A、IV変換にファインメットトランスを使っているというものです。素晴らしいです!!

CDをリッピングしたデータをNASに置き、データをネットワーク経由で転送して伸張してDACに送る、というネットオーディオは価格破壊の盟主だと思っていました。しかし、オーディオ雑誌で紹介されるネットワーク機器の価格はどんどん上昇し、ゼロが一つ二つ多く安価に高音質をと願う人達の方向と違ってきています。ジッタやサンプリングに関する技術的な議論無しに都市伝説的な評価もまかり通っています。残念ですね。

MJとかで、ネットワークプレーヤーの製作を特集して欲しいのですが、無理なのでしょうか?


2016/10/04

KT88プッシュプルアンプ 考察(3)

(Ⅲ)音質はどうだったか

苦労して製作したアンプなのでワクワクしながら電源を入れました。
ダンピングファクタが10を超えていますから低音の音離れが良く、スピーカーから音の粒がこちらに飛んでくるように感じます。ダークな音色ですが一通りの音が聞き取れます。ゴリゴリと押し出しの強い無骨なアンプ、という印象です。



01




上記では真っ当な音を出しているように書きましたが、正直言ってこのアンプの音は良くありません。物理特性は良好なので楽曲から一通りの音が聞き取れるのですが、ベールが2枚も3枚もかかったような濁った音です。低音の押し出しが強いこともあって聴き疲れします。
友人が遊びに来た時に聞いてもらったのですが、このアンプに関してはノーコメントでした...。



02




初段に積分補償を行ったアンプの音は良くないと言われていますが、出力段に積分補償を行ったアンプの音も良くありません。というよりも、発振しているアンプを位相補償でなんとか動かしているようでは良い音が出てくるわけはありませんね。



03



ここまで引っ張ってきて音が悪いでは情けなさすぎます。
リベンジしたいと思います。

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