KT88プッシュプルアンプ 考察(2)
(Ⅱ)周波数帯域からNFBを考察する
下図は電圧増幅段の周波数特性です。−3dBのカットオフ周波数は2.5MHzです。
スタガ比を稼ぐためとはいえ、オーディオアンプにこのような広帯域の回路を持ち込んで問題はないのでしょうか。
下図はNFをかけない状態でのアンプ周波数特性です。
1MHzまではそれらしい特性ですが、1MHzを越えるとゲイン、位相ともメチャクチャです。1MHzを超えた領域では、トランスがトランスとして機能していません。メガヘルツオーダーで動作する回路に真空管用のトランスを組み込み、多量のNFをかけることには問題がありそうです。
多量のNFをかけた回路では、100KHzを越えるとプリント基板やシャーシ内の配線による浮遊インダクタンスと浮遊容量の影響が無視できなくなります。理論通り動かなくなり、何故?ということがしばしば起こります。
また、オペアンプのように高入力インピーダンス/高ゲインの素子では局部発振の危険性が高く、プリント基板の配線引き回しや部品配置に注意が必要です。オペアンプのデータシートに載っている特性ですが、メーカーはベタグランドの上に実装した試験回路で測定していることが多いです。ユニバーサル基板で実験すると発振して動かないということはよく経験します。
このように見てくると、トランスや真空管等の図体が大きな部品が回路の中に含まれ、配線の引き回しが長くなりがちなオーディオアンプにおいて高い周波数を扱うことの危険が浮き彫りになります。
今回製作したアンプではプリント基板内をベタグランドとしましたが、アンプ全体を考えると効果は部分的なものだったようです。
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