KT88プッシュプルアンプ 電圧増幅段の設計(9)
ここまで半導体を使った電圧増幅段の設計を行ってきましたが、真空管で構成された電圧増幅段の特性はどの様なものか、実験してみました。取り上げたのは黒川達夫氏が設計した6CA7プッシュプルアンプの電圧増幅段です。実験した回路は下記の通りです。
実験の様子です。
下記は出力1Vrmsにおける周波数特性です。ゲインは43.2dB、カットオフ周波数は164KHzでした。回路の出力はアナログディスカバリーだけを接続しました。オシロやデジボルを一緒につなぐと、アンプの出力インピーダンスが高い為測定器の入力容量で特性が悪くなります。
下記は10KHzにおけるステップ応答波形です。周波数特性の影響で角が丸くなっています。
下記は上記のステップ応答波形を拡大したものです。−50Vから0Vまでの立ち上がりに注目してスルーレートを読み取ると50V/μsでした。LME49810とほぼ同等の性能ということになります。
参考文献:
黒川達夫、デジタル時代の真空管アンプ-6CA7pp 32Wパワーアンプ、誠文堂新光社、1989、p.212-229
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