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2016/04/26

KT88プッシュプルアンプ 電圧増幅段の設計(8)

NFBについて考えていきます。各増幅段の設計値は下記の通りです。



1段目(AD797)
ゲイン:12.2倍/21.7dB カットオフ:8MHz
2段目(LME49810)
ゲイン:10倍/20dB     カットオフ:2MHz
3段目(KT88)
ゲイン:0.415倍/-7.6dB カットオフ:140kHz
--------------------------------------------------------
ゲイン:50.63倍/34.1dB



β回路に使う抵抗の値を2.4KΩと510Ωにします。
NF量と仕上がりゲインは下記の通りになります。


NF = 1+Aβ
   = 1+50.63X(510/(2400+510))
   = 9.87倍/19.9dB

Gain = A/(1+Aβ)
     = 50.63/(1+50.63X(510/(2400+510)))
     = 5.13倍/14.2dB


安定性はどうなのか、LTSpiceを使ってシミュレーションしてみました。1〜3の各増幅段を電圧制御電圧源とCRフィルタを組み合わせて構成しています。





Nfb01



Nfb02



スタガ比を十分取っていますから高域の盛り上がりは小さいですが、さらに平坦にする為、微分補償を行うことにします。シミュレーション結果を下記に示します。




Nfb03



Nfb04


10〜22pF程度の微分補償で平坦な特性が得られると予想されます。




ここまでは計算上の話です。実際にアンプを組んでNFをかけるとこの様にうまく行くことはありません。今回はかなり苦戦しました。そのお話は後日、ということにしたいと思います。






【参考】
参考文献には、3段構成の非反転増幅回路の安定性について詳しい解説があります。1段目のゲインが可変で、2段目と3段目のゲインが1倍になっています。1段目のゲインが80の時に発振すると計算されていますのでシミュレーションしたいと思います。



Nfb05



Nfb06





参考文献の計算式から、発振周波数は275.66KHzと求められます。シミュレーションでは275.55KHzでした。計算結果が合っているかどうかを確認できるのもシミュレーションの良いところですね。






参考文献:
  黒田徹、負帰還回路の基礎理論と定数設計、CQ出版社「トランジスタ技術」、2004年6月号、p.171−180

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