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2016/04/16

KT88プッシュプルアンプ 電圧増幅段の設計(5)

 LME49810の前段にはAnalog DevicesのAD797を使います。この石は15年ほど前までは入手性が悪いこともあって、幻の?オペアンプでした。どんな音がするのだろうかいつか使ってみたい、とず〜っと考えていました。オーディオ用途で使うのは今回が初めてです。




 参考文献として紹介した「作りながら学ぶエレクトロニクス測定器」は、オーディオを含めアナログ電子回路愛好家の間でバイブルとなっている名著です。AD797は、第7章「ノイズの少ない信号増幅に重点を置いた低雑音ヘッド・アンプの設計と製作」で使われています。構想から始まり設計、製作、測定と順序立てて解説されています。多くの方に読んでいただきたいのですが、すでに絶版となっていて入手困難なようです。掲載内容は、「トランジスタ技術」誌の1998年10月号から2000年9月号までの連載記事がもとになっていますので、バックナンバーを入手するのも手かもしれません。





 AD797はとても発振しやすくて、私の腕では外部位相補償なしで安定に動作させることは難しいです...。その辺りのところをシミュレーションと実験で確かめていきたいと思います。


 回路定数は前回のブログで紹介した通りです。計算上のゲインは、差動で23.2dB、プラス片側で17.8dBです。シミュレーション結果を下記に示します。



Ad797_01


Ad797_02


Ad797_03



 カットオフ周波数ですが、差動で7.3MHz、プラス片側で7MHzとなりました。データシートにはゲイン10倍における帯域幅が8MHzと記載されていますから、妥当な値と言えます。しかし、高域の盛り上がりが大きいようです。データシートに掲載されているステップ応答写真からも同様の結果が予想できます。位相余裕は十分ありそうですが、この暴れ?が発振しやすいことの原因と思われます。


 

 外部位相補償を行うこととし、その効果をシミュレーションで確認します。



Ad797_04


Ad797_05


Ad797_06



 シミュレーション結果を見ると、22pFを追加することで平坦な周波数特性が得られるようです。22pFを追加した時のカットオフ周波数は、差動で5.2MHz、プラス片側で5MHzとなりました。


 次回は実験結果を掲載したいと思います。

 



参考文献:
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.129−139


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