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2016/04/23

KT88プッシュプルアンプ 電圧増幅段の設計(7)

 電圧増幅段の電源ですが、AD797は±15V、LME49810は±75Vとします。


 KT88の最大出力を見積もった際、プレート電流を60mAに設定した時のバイアス電圧は約−54Vと読み取れました。電圧増幅段で108Vppスイングできれば最大出力となります。LME49810を電源電圧±75Vで使用した時の最大出力は140Vppとなりますから、KT88のバイアスを調整するマージンまで考えても十分な値です。


 今回は電力増幅段に-55Vのバイアス電圧を加えることにします。電圧増幅段のバーチャルグランドを+1Vシフトすればデータシートから読み取った−54Vになります。バーチャルグランドを設定する回路は下記の通りです。この回路は、KT88毎に必要です。調整範囲は0〜+5.3Vです。



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 実験基板には上記バイアス調整回路も組み込みました。しかし、調整した電圧がLME49810の出力に反映されません。



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 原因を探ったところ、AD797の入力に1MHz前後の微小なノイズが見られ、AD797の出力にはオフセット電圧より大きなDC電圧が発生していました。AD797の入力には接続用のケーブルが接続されていたのですが、ATTに接続されておらず解放状態でした。さらに、シールド線ではなくバラ線になっていました。これをBNC to BNCでATTと接続すると正常な値に戻りました。また、AD797をFET入力のオペアンプと交換しても現象は消えます。


 ケーブルに乗ったノイズがAD797の入力で検波され、さらにインスツルメンテーションアンプでゲイン倍されて出力に現れたのではないか、と想像しています。ノイズは入力ケーブルがアンテナとなって受信したAM放送かもしれません。諸先輩方の製作記事を見ると、高周波ノイズをカットする為にフィルタ回路を設けている例があります(参考文献参照)。


 さらに、電圧増幅段はDCアンプとなっている為、入力に加わるDC成分はKT88のバイアス電流を変化させ、最悪の場合破壊に至ります。


 これらの対策として、入力段にローパスフィルタとハイパスフィルタを設けることにしました。回路は下記の通りです。カットオフ周波数は、154KHzと0.33Hzとなります。



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 使用するオペアンプは、入力段がFETになっている高入力インピーダンスタイプを使用します。ハイパスフィルタに使用しているコンデンサは0.22μF以上であれば問題ないと思います。官能評価?で何にするか決めるつもりです。





参考文献:
  黒川達夫、デジタル時代の真空管アンプ-6550App UL接続55Wパワーアンプ、誠文堂新光社、1989、p.207




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