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2016/03/22

KT88プッシュプルアンプ 電力増幅段の設計

 EL84アンプの時と同じように、メーカー発表のデータシートをもとに設計を進めていきます。三極管接続とウルトラリニア接続の動作例を下記にまとめました。



Kt88_05


 音質面を重視するなら三極管接続に傾きそうですが、今回は60Wの大型トランスを奮発することもあり、出力狙いでウルトラリニア接続を採用します。KT88のデータシートを見るとウルトラリニア接続に関する記述が多いことに気づきます。なんと、UL接続のEp−Ip曲線まで掲載されています。ありがたく使わせていただきたいと思います。

 上記表の中で、UL固定バイアス、電源電圧460Vの動作例で考えていきたいと思います。ただ、先輩諸氏の製作例から推測すると70Wの出力は難しいのではないかと予想しています。

 電力増幅段の回路構成を下記に示します。



Photo


 電源電圧は動作例より少し大きめにして、Eb=465Vとしました。電力増幅段の電源ですが、他回路の電源とアイソレーションした上で、リターンの電位を他回路のグランドに対して55V〜60Vバイアスします。これにより、グリッドの電位はカソードの電位に対して55V〜60V低くなり、電圧増幅段との直結が容易になります。

 カソードにつながる10Ωとスクリーンに入っている100Ωは電流モニター用です。グリッドに入っている1kΩは発振防止用です。グリッド抵抗47KΩは、前段のLME49810のドライブ能力が高いのでもっと小さな値でも良いと思います。

 次に電力増幅段のゲインを計算し、電圧増幅段に必要とされるゲインを見積もります。



Kt88_2


 上記は4Ωで計算してありますが、8Ωでは0.587倍、16Ωでは0.83倍となります。ラジオ技術2004年4月号の那須好男氏の記事の中に、GEC球の実測値として8Ωまでが0.547倍、16Ωまでが0.775倍という記載があります。データシートの動作例を基にした値は那須氏の記事より7%ほど大きくなりますが、良い線いっているのではないかと思います。

 


参考文献:
  誠文堂新光社「世界の真空管カタログ」
  那須好男、KT−88プッシュプル・モノ・アンプの製作、アイエー出版「ラジオ技術」、2004年4月号、p.11−21


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