EL84ppアンプ 電源の設計
(Ⅰ)トランス
トランスは株式会社フェニックスのRコアトランスを使用しました。
トランスの仕様決めですが、必要な電流はEL84のデータシートから算出しました。データシートのB1級プッシュプルには、17W出力時のプレート電流が46mA、スクリーン電流が11mAと記載されています。従って、ステレオ2チャンネルの最大出力時の電流は(46mA+11mA)×4=228mAと計算されます。もっとも、2チャンネル同時に最大出力が連続するというのは音楽鑑賞の中ではあり得ません。必要な電圧の方ですが、安定化電源を考えていますので(300V+10V)+αが必要です。
アンプ側はDCで考えていますが、トランスの仕様はACです。ブリッジ整流におけるDC電流はトランスのAC定格の6割、DC電圧はAC定格の1.2倍ぐらいになるというのが一般的に言われています。ということで、B電源用の巻線仕様は260V0.4Aにしました。その他は、電圧増幅段用として30V0.2A×2、ヒーター用として6.3V5Aを用意することとし発注しました。
メーカから届けられたトランスの測定値は下記の通りです。
これらの値を用いてシミュレーションを行います。
シミュレーション回路(負荷なし) トランス二次電圧
シミュレーション回路(負荷あり650Ω=390mA) トランス二次電圧
負荷なしの時の電圧は274.4V、負荷ありの時の電圧は258.8Vとなり、メーカ測定値とほぼ一致しました。
続いて整流回路を接続してDC電圧がどうなるかシミュレーションしました。
トランス二次電圧 整流後電圧とトランス二次電流
設計時に想定した最大電流240mA負荷時、トランス出力電圧はAC260Vとなっており目論見通りなのですが、整流後電圧の中心値が342Vと設計時の想定より30V高くなってしまいました。この原因はRコアトランスの巻線抵抗が一般のトランスより低いことにあります。これは想定していませんでした。この結果、定電圧回路の損失が大きくなることが予想されます。しかし、家庭用電源の変動±6Vを考慮するならば妥当な値かもしれません。
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