EL84ppアンプ 試作実験(4)
(Ⅱ)電圧増幅段の特性
Analog Discoveryを使って電圧増幅段の周波数特性を測定しました。
出力が1Vrms(at 1KHz)になるよう入力電圧をセットした時のカットオフ周波数は985KHzであり、LTsiceを使ってシミュレーションした結果958KHzとほぼ一致しました。十分なスタガ比が得られています。
電圧増幅段の周波数特性(出力電圧1Vrms)
出力が10Vrms(at 1KHz)になるよう入力電圧をセットした時のカットオフ周波数は460KHzです。1Vrmsの時より低い周波数値になる理由ですが、大振幅時の周波数特性はGB積の値ではなくスルーレートの値で決まってくるからです。OPA604のスルーレートは25V/μsです。10Vrmsまで追従できる周波数は、 SR=2πfE 式から 25×1000=2πf×14.1 → f=281KHzとなります。この周波数より高くなると正弦波を入力しても出力は三角波になります。三角波の実効値を計算することでスルーレートに影響されたカットオフ周波数を求めることができます。10Vrms(at 1KHz)にセットしたカットオフ周波数は510KHzと計算されます。測定値と10%程度の差になりました。
電圧増幅段の周波数特性(出力電圧10Vrms)
(Ⅲ)ゲイン配分
NFBをかけないアンプの周波数特性は下記の通りになりました。4オーム負荷、2Vrms=1Wで測定しました。
電圧増幅段+電力増幅段の周波数特性(出力電圧2VrmsNFBなし)
1KHzにおけるゲインは32.3dBです。電圧増幅段のゲインは36.8dBと測定されています。電力増幅段のゲインは−4.5dBとなり設計値より0.4dB大きくなりました。誤差の範囲と考えられます。
下記はNFBをかけたアンプの周波数特性です。位相補正ありです。1kΩと82Ωのβ回路で、仕上がりゲインは仕様通り20dBになっています。
電圧増幅段+電力増幅段の周波数特性(出力電圧2VrmsNFB12dB)
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