EL84ppアンプ 試作実験(3)
試作実験の結果とFB事項について報告します。EL84はJJ製を使用しました。負荷は4Ωです。
(Ⅰ)バイアス電流の設定とスクリーン損失
設計時点で参考にしたデータシートの動作例は、B1級でバイアス電流が8.3mA(プレート電流:7.5mA、スクリーン電流:0.8mA)になっています。B級動作と言っていますので、このままだとリニアリティの悪い裸特性になると予想されます。それを証明しようという訳ではないのですが、下記グラフはバイアス電流をパラメータとしアンプ出力を1Vrmsから7Vrmsまで振った時にゲインがどのように変化するか測定したものです。
このグラフから、バイアス電流を増やしていくと直線性が大きく改善されることが分かります。B級動作からAB級動作に移行していると考えられます。しかし、バイアス電流を増やすとスクリーン損失が大きくなり、EL84の最大損失2Wを越える心配が出てきます。おそらく、5極管接続では動作例のバイアス電流値8.3mAが限界なのだと思われます。しかしながら、今回はUL接続ということでスクリーン電圧はプレート電圧の43%しかかかりません。バイアス電流をもう少し増やしても良いでしょう。
ということで、バイアス電流を16mA(プレート電流:14.5mA、スクリーン電流:1.5mA)にした時のスクリーン電流と損失及びプレート電流と損失を測定し、定格オーバーになっていないか確認してみました。
スクリーン電流とスクリーン損失は、出力の増加に伴い相似形で増加していきます。アンプ出力14Wでスクリーン損失は最大定格2Wに達し、それ以上の出力で定格オーバーになります。しかし、ここから先の出力領域は連続的ではなく瞬時的に入り込むだけと考えるならば、せん頭最大定格4Wが適用されてもよい領域であり問題ないと判断しました。ということで、バイアス電流は16mAに設定することとします。
一方、プレート損失はアンプ出力5W付近にピークがあります。全体を通して4〜6Wの間に収まっています。プレート電流はアンプ出力に比例して増加していますから、その差分がアンプ出力(+出力トランスロス)として取り出されます。黒田達夫氏の著書に、プレート損失は「最大出力の3割前後の出力で最大となり10%程度は増えます」と書かれており、今回の測定はそれをなぞる結果になりました。
参考文献:
黒川達夫、現代真空管アンプ25選、誠文堂新光社、1998、p.49
« 真空管オーディオ・フェア | トップページ | EL84ppアンプ 試作実験(4) »
「真空管」カテゴリの記事
- KT88プッシュプルアンプ 電圧増幅段の設計(9)(2016.04.30)
- KT88プッシュプルアンプ 構想と仕様(2016.03.08)
- EL84ppアンプ 試作実験(3)(2015.10.20)
- EL84ppアンプ 構想と仕様(2015.09.02)
「EL84設計」カテゴリの記事
- EL84ppアンプ プリント基板の設計(4)(2015.11.28)
- EL84ppアンプ プリント基板の設計(3)(2015.11.25)
- EL84ppアンプ プリント基板の設計(2)(2015.11.20)
- EL84ppアンプ プリント基板の設計(2015.11.17)
- EL84ppアンプ 電源の設計(4)(2015.11.14)



コメント