EL84ppアンプ 電力増幅段の設計
電力増幅段の設計を行う際、データシートの動作例がとても参考になります。EL84のデータシートにはプッシュプルの動作例が幾つか記載されています。
これを見て意外なことに気づきます、それは、固定バイアスでも自己バイアスでも出力値が変わらないことです。普通の出力管であれば、電源の使用効率が良いので固定バイアスの出力が自己バイアスの出力に対して大きくなります。おそらく、EL84は感度の高い低バイアス管のため同じ値になるのだと思われます。そのためもあってか、先輩諸氏の製作記事はほとんど自己バイアスを採用しています。無調整でシンプルな電源回路、プレートの過電流保護も兼ねていて性能は同じとなれば当然かもしれません。
しかし、今回製作するアンプは前記のメリットを捨てて?固定バイアス方式を採用しようと思います。自己バイアスを採用するとカソード抵抗と並列にコンデンサを入れることになりますが、このコンデンサによってアンプの音色が大きく変化することは誰もが経験することです。確かに、いろいろなコンデンサを試して音色を調整するのは自作アンプの楽しみでもあります。しかし、低域の音質を考えるとカソードコンデンサの容量は数百μF〜になります。この容量だとケミコンを使うことになりますが、ケミコンは音質的なバラツキが大きいという経験則(思い込み?)があって固定バイアスを採用することにしました。
電力増幅段の回路構成は下記の通りになります。
Eb=300Vで考えていますが、厳密には出力トランスの直流抵抗とカソード抵抗があるためB電源から1〜2Vドロップします。バイアス電流をモニターするために、カソードに10Ω(R1、R2)が入っています。スクリーンに入っている100Ω(R3、R4)は電流モニター用です。発振防止のために必要という記事も見かけますが、入っていない製作例も見かけます。グリッドに入っている1kΩ(R5、R6)は発振防止用です。MOSFETや真空管の様に入力インピーダンスの高い素子では寄生容量と寄生インダクタンスによる発振現象が生じやすく、これを防止する目的で抵抗を入れるのが一般的です。グリッド抵抗100KΩ(R7、R8)はグリッドリークとの兼ね合いで値が決まってきますが、カップリングコンデンサと合わせてハイパスフィルタが構成されるのでカットオフ周波数にも注意が必要です。オペアンプ出力を直結するのであれば、もう2桁小さな値でも問題ありません。
参考文献:
誠文堂新光社「世界の真空管カタログ」
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