コンテンツ

カテゴリー「±15V電源」の3件の記事

2017/05/19

真空管アンプ電源
 ±15V電源 実験結果

回路を製作し所望の特性が出ているか、ユニバーサル基板に組んで確認しました。



Photo



下の写真は実験の様子です。



Photo_2



下図はロードレギュレーションを測定した結果です。



15v



+78Vのときと同じように、100mA程度の電流を流しても出力変動は非常に小さく、マルチメータで値を観測することはできませんでした。治具までのケーブルと接続端子、スイッチを合わせた抵抗分は75mΩと+78Vの時と同じ値が測定されています。


ロードレギュレーションの測定回路を再掲載します。



Photo_3



下の写真は過渡応答を観測したものです。



Photo_4

+15Vの過渡応答(左)と−15Vの過渡応答(右)
上は0.47μFと100KΩによってDC分を除いた出力波形
下はFETの駆動電圧



収束時間はシミュレーションの結果とほぼ一致し、安定動作しています。


過渡応答の測定回路を再掲載します。



Photo_5





参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.86−157
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90





2017/05/12

真空管アンプ電源
 ±15V電源 シミュレーション

設計した電源回路をシミュレーションします。

下図はプラス側クローズループ特性のシミュレーション回路とその結果です。
積分回路のコンデンサ容量を47pFから1000pFまで変化させて解析しました。



15v


15v_2



下図はマイナス側クローズループ特性のシミュレーション回路とその結果です。
積分回路のコンデンサ容量を10pFから220pFまで変化させて解析しました。



15v_3


15v_4



計算値とシミュレーションの結果に多少のズレがあります、使用したコンデンサの値が計算値と少し異なっていることや、設計とシミュレーションとで使用したFETのgmに差があること等が原因となっています。


上記の結果を表にまとめたものが下図になります。



0db



シミュレーションの結果を数字で得るには、Spice Directiveで[MEAS.]コマンドを使います。キーボードの”s”を押すとEdit Text on the Schematic画面が開きますから、ゲイン0dBの周波数と位相を求めたいときは下記のように入力します。

.MEAS AC LG0_f FIND V(V2-)/V(V2+) WHEN mag(V(V2-)/V(V2+))=1 fall=1

シミュレーション後、キーボードで”control”と”L”を押すと下図のようにログ画面が開きます。


Photo

下図はプラス側の過渡応答をシミュレーションした回路とその結果になります。
積分回路のコンデンサ容量を47pFから1000pFまで変化させて解析しました。



15v_5


15v_6



下図はマイナス側の過渡応答をシミュレーションする回路とその結果です。
積分回路のコンデンサ容量を10pFから220pFまで変化させて解析しました。



15v_7

15v_8





参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.86−157
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90




2017/05/05

真空管アンプ電源
 ±15V電源 設計

今回は±15V電源の設計です。

±78V電源のときはバイポーラトランジスタを使いましたが、ここではMOS FETを使用してい
ます。両者の差は下図の通りです。



15v



ETを使うときに問題となるのは、VinとVoutの電圧差です。バイポーラトランジスタではVbeの値は0.6V〜0.7Vでほぼ一定ですが、MOSFETのVgsは製造プロセスで異なります。その値は2V〜5Vと、バイポーラ素子に比べて大きくなってしまいます。従って、MOSFETを用いた安定化電源は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの差が大きな場合に限り採用できるということになります。

今回の±15V電源の場合、±78Vと同じ整流回路を使用したためVinが80V以上あるので問題なく使えます。



下図は製作した±78V電源の回路図になります。設計出力電流は100mAです。



15v_2



まずソースフォロアの出力抵抗Roを求めます。Roは伝達コンダクタンスgmの逆数になります。


下図は、NチャネルのFQPF10N20とPチャネルのFQPF5P20のゲートソース間電圧対ドレイン電流のグラフです。



15v_3
FQPF10N20(左)FQPF5P20(右)



グラフの傾きがgmになりますが、線形性を持っているとは言えません。ドレイン電流が大きくなるとgmの値も大きくなります。このグラフから100mA〜200mAの領域を読み取ります。
FQPF10N20のgmは1.25、FQPF5P20のgmは0.5と読み取りました。よって、ソースフォロアの出力抵抗Roは、プラス側0.80Ω、マイナス側2Ωと計算されます。


過電流検出抵抗R3は2.2Ωです。

出力コンデンサ25V470μFの等価直列抵抗Rc1を0.2Ωとしています。


これらの条件から、プラス側fA=106Hz、fB=1690Hz、マイナス側fA=77Hz、fB=1690Hzが求まります。
fCは参考文献に従い30KHzとします。


この後、比較増幅部の抵抗とコンデンサの値を求めていきます。
上記回路では、プラス側C1=129pF、マイナス側C2=42,8pFと計算されました。
入手性を考慮し、プラス側150pF、マイナス側47pFを使用することとします。







参考文献:
  遠坂俊昭、電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISによる高性能電源回路の設計、CQ出版、2013、p.86−157
  本多平八郎、作りながら学ぶエレクトロニクス測定器、CQ出版社、2001、p.52−90